2012年10月28日(日)
日米共同シンポ
異様な光景 玄葉外相、米から口頭試問?
「第3次アーミテージ・ナイ両氏の提言に感謝する。日本の真の友人の提言であり真摯(しんし)に受け止める」
こう述べる玄葉光一郎外相の前には、米国のカート・キャンベル国務次官補、リチャード・アーミテージ元国務副長官、ジョセフ・ナイ・ハーバード大学教授、ジョン・ハムレ米戦略国際問題研究所(CSIS)所長らが座り、壇上を見上げます。日本政府の重要閣僚が米政府の高官らから口頭試問を受けるような異様な光景です。
26日に東京都内で開かれた日本経済新聞とCSISの共催によるシンポジウムでのことです。
8月に発表された第3次アーミテージ・ナイ報告は、野田佳彦首相の原発再稼働を称賛するとともに、原発政策の継続・推進を要求。TPP(環太平洋連携協定)への参加促進やシーレーン防衛への関与の継続、集団的自衛権の禁止の見直しなどを求めています。
この日のパネル討論で、ナイ氏は「原発ゼロは受け入れがたい」とし、アーミテージ氏は「(集団的自衛権に関する)憲法の再解釈は非常に重要だ」などと発言。キャンベル氏は「TPPは通商関係を抜本的に変える」として日本の参加に期待を表明しました。
これに対し玄葉氏は「集団的自衛権行使に強い問題意識を持っている」「日米の安保協力の強化を進める」などと次々と「誓約」を表明しました。自民党の石破茂幹事長も登壇し、国家安全保障基本法案で集団的自衛権の行使を可能にするとし、日本版海兵隊の整備を主張。日米同盟の変革と強化にあらゆる努力をすると述べました。
二大政党と国民との矛盾の根本に、日米同盟が横たわる姿をまざまざとみせつけました。(寅)