2012年10月24日(水)
規制庁の常勤職員
原発推進側 ずらり
吉井議員要求資料で明らか
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原子力規制委員会の事務局を担う原子力規制庁の職員に、原発メーカーやゼネコン、電力会社など、原発を推進してきた関係企業出身者が今もなお多数存在していることが、わかりました。日本共産党の吉井英勝衆院議員の資料要求に同庁が提出したもの。東京電力福島第1原発事故の反省から原子力の「規制」と「推進」の分離が求められていたにもかかわらず、これに逆行するものです。
資料は、規制庁が発足した9月19日付。これによると、常勤職員456人のうち、「人事院規則1―24」という「公務の活性化のために民間の人材を採用する場合の任用の特例」で、民間から経済産業省や文部科学省、原子力安全委員会に採用されていた職員が118人います。
このうち、三大原子炉メーカーの一つ、東芝は14人と最多。安全審査官や、原子力防災課事故対処室の原子力防災専門職、浜岡原子力規制事務所の統括原子力保安検査官などに就いています。東芝ソリューションなどグループ会社3社の計5人も廃止措置専門官、泊原子力規制事務所の原子力保安検査官などになっています。
同じく三大原子炉メーカーの日立製作所は7人。福島第2原子力規制事務所の原子力防災専門官、福島第1、東海・大洗、志賀、敦賀の各原子力規制事務所の原子力保安検査官に就任。日立エンジニアリングサービスなどグループ会社3社の計6人も柏崎刈羽原子力規制事務所の原子力保安検査官などになっています。
原発などに主要機器を提供しているIHI(旧・石川島播磨重工業)は7人。原子力防災課事故対処室の緊急事態対策係長、玄海原子力規制事務所の原子力保安検査官など。
原子力プラント用電機品を、北海道電力の泊原発、関西電力の大飯原発、高浜原発などの納入している三菱電機は、対応する原子力規制事務所の原子力保安検査官4人。
原発の土木・建設部門を請け負うゼネコンも、清水建設、熊谷組が安全規制管理官の管理官補佐、大成建設が東海・大洗原子力規制事務所の原子力保安検査官に。
関西電力は4人。原子力防災専門職と志賀、敦賀、島根の各原子力規制事務所の原子力保安検査官です。
東京電力はいませんが、テプコシステムズなどグループ会社3社の計5人が、技術基盤課安全研究推進室の室長補佐、女川原子力規制事務所の原子力保安検査官などになっています。
規制庁には、防衛省出身の2人が原子力防災課に配属されていますが、海上(6人)、航空(5人)、陸上(3人)の各自衛隊も。原子力防災課の訓練専門官や六ケ所原子力規制事務所の原子力防災専門官などに就任しています。
規制機関である規制庁に、原発メーカーや電力会社などの出身者がいるのはいかがなものか―。原発の安全規制業務にあたる規制庁の専門職員は、メーカーなどの出身者に頼ることなく、高い専門性を備えた技術者を採用すべきです。
“事故の教訓どこへ”
由々しき事態
原発問題住民運動全国連絡センター筆頭代表委員の伊東達也さんの話 原発を推進する側と、規制機関とが一体となることが、今回の福島原発事故の大きな原因となったことがはっきりしているのに、同様のことが、いまなお続いていることがわかった。同様の事故を起こす恐れがある。規制機関の事業者など推進側からの独立という点からみて、由々しき事態だ。