2012年10月20日(土)
きょうの潮流
きのうの雨がうそのような秋晴れ。窓際から青空を仰いでいて、ふと気づきました。もうアサガオが咲いていません▼前日の朝、まだ赤紫の花を一輪だけ開いていました。どうやら、ことしの咲き納めだったようです。夏の花の代名詞、しかし俳句の世界では秋の季語のアサガオ。長い間和ませてくれて、お世話になりました▼テレビに目を転じると、ニュース速報が飛び込んできました。「田中法相、辞任の意向を固める」。もちろん、アサガオに対するような別れを惜しむ気は、起こるはずもありません。暴力団の人たちとの、深い仲が知られています▼実は「辞任の意向」がないようですが、野田首相はみてみぬふりをできないはずでは? ところで、アサガオは1000年以上前に中国から伝わりました。種子が下剤に使われました。日本人は、涼やかな花の植物を薬に用いるだけではあきたりません▼空前の園芸熱の江戸時代に、観賞用の品種改良が大流行します。ボタン咲き。糸状に裂ける花びら。二つ重ね…。アサガオにみえないような品種は、変化咲きとよばれました。原種とかけ離れた変化咲きは、種子がならないものも多く、弱く、育ちにくい▼公約違反を重ねたり、変だと分かっている人を閣僚にしたり、心棒を欠いて政治不信をかい、人々とのふだんの結びつきもなく風頼み。根無し草のような各党も、みかけは派手だが先行き心もとない政界変化咲きでしょうか。アサガオと、育ててきた園芸家に失礼かもしれないけれど。