2012年10月14日(日)
オスプレイ 尖閣解決!?
日米合意文書“島嶼部侵略は日本の責任で”
中国・北朝鮮の動向はつねに、日米同盟や自衛隊強化の口実とされてきました。現在では、米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイの沖縄への強行配備と、尖閣諸島問題が結びつけられています。しかし、これには軍事の専門家からも疑問の声が相次いでいます。(竹下岳)
「島嶼(とうしょ)の多い我が国の防衛においては、在沖海兵隊の上陸作戦能力は不可欠」―。防衛省が昨年6月に発行した冊子『在日米軍・海兵隊の意義及び役割』は、こう記しています。
さらに、「我が国の離島に万一緊急事態が発生した場合、沖縄の海兵隊ヘリコプターは陸上(自衛)隊員を乗せて現場に急行する」と明記。ここでいう「海兵隊ヘリコプター」には、オスプレイも含まれます。
ところが、2005年10月の在日米軍再編合意には、こう記されています。
「日本は…島嶼部への侵略といった、新たな脅威や多様な事態への対処を含めて、自らを防衛し、周辺事態に対応する」。尖閣諸島などが軍事占領される事態が起こったとしても、それは日本の責任だというのです。
安全保障政策に関わっていた元政府高官は「この文書はいまも有効であり、当然、米国は日本の島嶼防衛に関わらない」と断定し、こう解説します。
「相手が艦隊や戦闘機を出動させれば、オスプレイで飛んでいっても撃ち落とされるだけだ。それを避けるためには制海権や制空権を取る必要があり、敵地に乗り込んでレーダー網を破壊しないといけない。尖閣のために、米国は本当にそこまでやるのか」
米軍に頼れないのなら、自衛隊を強化すればいいのか。自民党の石破茂幹事長は「尖閣を守るのは第一義的に日本国の仕事だ。…海兵隊創設も真剣に考えるべきだ」と述べています。(7月29日のフジテレビ系番組)
これに関して、冨沢暉元陸上幕僚長は、このように指摘しています。
「日本の防衛問題として南西諸島防衛が話題になっているが、尖閣問題とは全く別問題である」(日本戦略研究フォーラムへの寄稿)
冨沢氏は、「中国は三戦(法戦・宣伝戦・心理戦)でくる。日本も三戦で応じなければならない」としています。これらは、日本が「尖閣諸島で領土問題は存在しない」という口実で逃げ続けてきた中国との国際法上の論戦や国際社会へのアピールをすべきだという主張です。
領土問題での外交・政治戦略が欠如したまま、軍事的対応の強化を声高に叫ぶのは、発想の貧困さをさらけ出すだけです。