2012年10月12日(金)
米中心の軍事同盟見直し論
米州国防相会議 核兵器廃絶の声も
南米ウルグアイのプンタデルエステで8〜10日に開かれた米州国防相会議では、主催国ウルグアイをはじめ南米諸国が、米国を中心とした軍事同盟の見直しを求めました。主催国からは核兵器廃絶を求める声が出されました。 (島田峰隆)
会議には米州29カ国の代表団が出席。米州地域の安全保障のあり方や、軍事同盟である米州相互援助条約(リオ条約、1947年調印)の有効性などについて議論しました。
主催国ウルグアイのウイドブロ国防相は開幕演説で、人口増への対応、飲み水や食料、エネルギーの確保などが世界が直面する課題だと指摘。「貧困や経済的不平等があらゆる問題の根源にある。その解決は軍事では無理だ」と強調しました。
その上で同相は、米国が中南米諸国を軍事的に巻き込む根拠となってきたリオ条約に基づく安全保障体制について、「時代遅れだ」と批判し、見直しを求めました。また核兵器について「地球上の生命のあらゆる痕跡を消し去ることができるものだ」と警告し、廃絶を求めました。
ウルグアイの提案を受けて、エクアドルのカルバハル国防相も同条約を柱とした安全保障体制の「全般的な見直し」を要求。南米諸国の多くがこれに賛同し、「(安全保障に関する)現在の法律を直ちに見直す必要があると各国が一致した」(ロイター通信)会議となりました。
こうした声を受けて、パネッタ米国防長官も「軍隊の活用は長い目で見れば解決にならない」と述べざるをえませんでした。
リオ条約は、2004年にメキシコが脱退するなど、機能不全に陥っています。今年6月にボリビアで開かれた米州機構(OAS)総会では、ボリビアやエクアドルなど中南米4カ国が廃棄通告を行う意向を示しました。
米州国防相会議 1995年にクリントン米政権(当時)のイニシアチブによって始まった会議で、キューバを除く南北米州34カ国の国防相が参加します。米国主導の「自由貿易圏」創設と並んで、安全保障面での米州諸国間の協力強化が目的とされます。