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2012年10月12日(金)

原子力規制庁 市民監視を強化

長官は元警備・公安幹部

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 原子力規制委員会が、傍聴者や記者を監視するために公安警察を会議に同席させていたことが10日に明らかになりました。同委員会の事務局を担う原子力規制庁は、長官に池田克彦前警視総監を据えるなど、警備・公安警察偏重の異例な体制です。「しんぶん赤旗」を会見から排除しようとした問題と合わせて、その姿勢が問われます。


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(写真)10日の原子力規制委員会に入った警備・公安警察官(アワー・プラネット・TV提供)

 公安警察官の監視行動が明らかになったことについて、規制庁の森本英香次長は「警察署に対して警備を依頼しているのは事実」と、同庁主導ですすめたことを認めました。

 傍聴する市民への監視をめぐっては7月、当時の経済産業省原子力安全・保安院が、専門家会議の傍聴希望者の情報を警察に提供した疑いがあると市民団体から抗議されました。規制庁が、会議室内まで公安警察官を入れて監視したことは、市民敵視がさらに強まっていることを示しています。

起用の意図は

 池田氏は、警察庁公安課長、警視庁警備部長、警察庁警備局長、警視総監などを歴任。市民のデモを規制する「警備」や自衛隊情報保全隊と同様の国民監視を主任務とする「公安」の幹部を一貫して務めてきました。

 警察取材経験の長いジャーナリストは、池田氏について、こう指摘します。「若いころから“警備のエース”と言われ、警察の主流である警備・公安畑を歩んできた。それだけに市民に情報をオープンにするというより、監視・管理して当然という発想だ」

 規制委員会は環境省の外局。細野豪志環境相(当時)は発足時の記者会見で、池田氏を長官に起用した理由について、「各種災害に関連する警備活動や有事対応など、危機管理経験が大変豊富」だからと説明しました。

 国民が原子力規制庁に求めているのは緊急事態への対応だけでなく、原子力行政の透明化をすすめることです。しかし、池田氏起用には、それと逆行した意図を感じます。

 規制庁の幹部には、警視庁警備部長だった黒木慶英氏も原子力地域安全総括官として配置されています。池田氏の側近を連れてきたかたちです。

 規制庁は、職員の出身官庁について明らかにしていません。しかし会見で森本次長は、「消防、警察、あるいは防衛からも来てもらっている」と認めています。

ガラス張りに

 もともと警察と電力業界は、深い関係です。東京電力には32人、関西電力にも16人の警察関係者が天下っていることが明らかになっています。規制庁のトップが警察官僚出身で、電力業界に厳正な指導ができるかどうかも疑問が残ります。

 こうした規制庁の姿勢について『日本を滅ぼす電力腐敗』の著者でフリージャーナリストの三宅勝久さんは、こう批判します。「公安警察に監視させるなんて、民主主義国家ではあってはならない。原子力規制庁というより『報道規制庁』『脱原発運動規制庁』と呼ぶのがふさわしい。規制委員会と規制庁がやるべきことは、原子力行政から癒着をなくしガラス張りにしてほしいという、国民の要請にこたえることのはずだ」


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