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2012年10月9日(火)

復興の壁 どう打開

支援体制 自治体間に差、違法労働・低賃金が横行

被災者支援交流会から

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 7、8の両日、宮城県内で開かれた「災害被災者支援と災害対策改善を求める全国連絡会」(全国災対連)などでつくる実行委員会による全国交流集会。参加者は九つの分科会での交流を通じて復興の課題を明確にし、その原因や打開のためにどのような運動が必要なのか、先進的な取り組みから学びました。(本田祐典)


生活再建

 「生活再建」をテーマにした第1分科会で話題の中心になったのは、国の生活再建支援金(全壊で最大300万円)が少なく、住宅再建の足かせになっているということです。

 岩手県は自治体と協力し、国の支援金のほかに最大100万円を上乗せする一方、宮城県と福島県では同様の取り組みがすすんでいません。自治体の独自支援にも違いが出ています。

 「自治体間で競いあって、どんどんいい制度を実現したい」と切りだしたのは、岩手県陸前高田市の伊勢純・日本共産党市議です。

 伊勢市議は、市が独自に打ち出した支援を「自力再建の方々の宅地取得に50万円、取り付け道路に最大300万円、水道整備に最大200万円など、国の支援金や県の上乗せとあわせて約1300万円の支援が実現した」と紹介しました。

 阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議の岩田伸彦事務局長は、「救援は義援金で」と公費を出さない立場だった国を動かし、署名など被災者の運動で1998年に支援金の制度を誕生させた経緯を報告。新潟災対連の宍戸末雄事務局長代理は、当初は100万円だった支援金が、2回の改正で少しずつ改善されてきたと話しました。

 東日本大震災津波救援・復興岩手県民会議の鈴木露通事務局長は「被災者の数が多く世帯ごとの義援金は少ないため、支援金のうち、すでに配られた100万円は生活に消えたのが実態だ」と、住宅再建を実現するには制度を拡充する運動の必要性を訴えました。

 伊藤潤一東京災対連事務局長が、「各地の独自支援の努力をエネルギーに、国の支援金制度そのものを変えることも大事だ。全国災対連としても拡充の運動を強めていきたい」と提起しました。

雇用・地域経済

 「雇用と地域経済」を議論した第7分科会では、被災地の劣悪な雇用環境が次々と報告されました。

 宮城県労連労働相談センターの相原研一相談員は、「復興関連の仕事で違法労働が横行している」と告発。実際に寄せられた相談から▽埼玉県内で「被災地に仕事がある」と誘われ、がれき処理の仕事に就いたが、待機ばかりで収入がない▽賃金を2カ月もらっていない―などの事例を示しました。

 被災地の地方議員らも「建設・土木の求人だけの極端な状況。失業給付の延長を打ち切られ、被災者は貧困に陥っている」(日本共産党の船山由美・仙台市議)、「優遇して誘致した企業でも、賃金が安く生活が保障されない」(同大沼宗彦・宮城県名取市議)と訴えました。

 参加者は、「被災地にこそ、生活できる賃金を義務付ける公契約条例が必要だ」「違法労働の横行を防ぐには元請け責任を明確にすることが大事」「労働者を守るための実態調査に取り組む」と語り合いました。


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