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2012年10月9日(火)

山中京大教授にノーベル賞

iPS(人工多能性幹)細胞初めてつくる

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 スウェーデンのカロリンスカ研究所は8日、2012年のノーベル生理学・医学賞を、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を世界で初めてつくった京都大学の山中伸弥教授(50)と、英ケンブリッジ大学のジョン・ガードン博士(79)に授与すると発表しました。授賞理由は「成長して分化した細胞が、体の全ての組織に成長可能な未分化な細胞に初期化され得ることを発見した」ことです。


英ガードン博士も

 iPS細胞は、体をつくっている細胞から作り出した、どんな細胞にもなる能力を持つ細胞です。このような能力をもつのは、受精卵や生命の発生の初期の段階だけに存在する胚性幹細胞(ES細胞)だけとされていました。

 山中さんは、ES細胞でだけ働く遺伝子のうち遺伝子群全体の司令塔となる「Oct3/4」と「Sox2」、多様な細胞への分化能力を担う「Klf4」、増殖能力を担う「c―Myc」の4種類の遺伝子を使うことで、すでに特定の機能を持つマウスやヒトの皮膚の細胞を「初期化」してiPS細胞を作り出すことに成功しました。

 iPS細胞は、さまざまな器官や組織をつくる細胞になることができるため、再生医療への応用が期待されています。京都大学医学部の研究グループが、マウスで卵子を作り出したことを最近米科学誌『サイエンス』に発表するなど、国内外でiPS細胞を使ったさまざまな研究が進められています。

 山中さんは大阪府東大阪市出身。神戸大学医学部卒業後、大阪市立大学、奈良先端科学技術大学院大学などを経て、現在、京都大学iPS細胞研究所長。

 ジョン・ガードン博士は1950年代後半から60年代にかけてツメガエルを使った実験で成体細胞の核を卵子に移植し、すでにさまざまな機能を持った細胞を、機能を持つ前の状態に戻し、再びさまざまな機能を持つようにできることを証明しました。

 賞金総額は800万スウェーデンクローナ(日本円で約9500万円)。12月10日にスウェーデンの首都ストックホルムで授賞式が行われます。

 日本人のノーベル賞受賞は19人目(2008年物理学賞を受賞した米国籍の南部陽一郎氏を含む)、生理学・医学賞の受賞は1987年の利根川進・米マサチューセッツ工科大学教授に次いで2人目です。


 iPS細胞 人工多能性幹細胞(induced Pluripotent Stem cell)の略称。ほぼ無限に増殖し、多様な細胞に変わる万能細胞。開発者の山中伸弥京大教授が携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」などを意識して命名しました。


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