2012年10月8日(月)
ゆうPRESS
原発のない平和な未来つくろう
原発銀座、福井でピースアクション
20日にライブ
関西電力大飯原発など商業用原発13基と高速増殖炉もんじゅが林立する福井県で、県内の若者たちが中心となって「原発のない平和な未来をつくろう」と動き始めました。名づけて「ピースアクション実行委員会〜原発のない未来へ〜」。今月20日に、音楽やダンス、絵、トークなどで交流する「ピースライブ」を開催しようと準備に駆け回っています。(舘野裕子)
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隔週だった実行委員会の会議を毎週に増やした9月26日、福井市内にある実行委員会事務局長の河合良信さん(31)の家で会議が始まりました。夜7時をすぎると、実行委員長の村井みきさん(32)と河合さんに加え、仕事帰りの実行委員会メンバーがぽつぽつと集まり始めます。6畳ほどの部屋に車座になり、「ピースライブ」当日のタイムスケジュールを確認しながら口々に意見を出し合います。
「この歌みんなで歌えるかな」「絵本の朗読は何時?」「ピース宣言は誰が考えるの?」「テントの重しはどうしようか」「参加人数の把握もしないと」―。終了予定時刻の10時を1時間ほど回ったところでようやく終了。「おなかすいたー。ご飯行こうか」と場所を移して、夕食をとりながら交流は午前0時まで続きました。
「みんなそれぞれ個性が強いから、口論することもしょっちゅう」と河合さん。村井さんは「実行委員長なんてガラじゃないんですけど、ここでは自分の悪いところもひっくるめて、みんなに受け止めて支えてもらっています」と笑います。
Peace つながろう
「青年の青年による青年のための脱原発の場をつくりたかった」。そう語る村井さんを実行委員会結成へ突き動かしたのは、大飯原発3、4号機の再稼働強行が差し迫った4月のことでした。県庁前で行われていた再稼働反対の座り込み行動に河合さんに誘われて初めて参加したところ、若者の数がとても少なかったのです。
「福井にも原発に反対する若者はいるのだから、つながれる場をつくりたい」。河合さんと共に友人に声をかけて準備会を立ち上げ、5月には実行委員会を結成しました。
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いまなぜ「ピース」を前面に掲げる必要があるのか。「ピースアクション」の名前には、福井の今の現実から出発したいという実行委員会の思いが込められています。
実行委員会をつくる直前に、村井さんと河合さんは大飯原発の地元おおい町の約100軒を訪問し、同原発再稼働に対するアンケートを行いました。原発関係の仕事に就く人が7割以上という地区で、再稼働に「賛成」の人も含めて、「将来的には原発をなくしたい」という人が8割にのぼりました。
河合さんは「原発について話すことがタブーになっている福井でさえも、多くの人が原発のない平和な未来を願っていました。根底にある平和への願いは共通した思いだと分かり、未来が見えた」といいます。
この経験を大切にして実行委員会を結成しました。運営では、再稼働に賛成の人にも、よく分からないという人にも、自分たちの結論を押し付けず、一緒に学び考え合い、表現できる場にするよう心がけてきました。
チェルノブイリ原発事故の映画上映会、ピースアート展、福島訪問の報告会など、さまざまな取り組みを通して、メンバーは現在20人に。毎月2回の実行委員会を重ねながら、互いの頑張りを共有し、励ましあってきました。情報を出し合い、意見をかわし深め合うなかで、「原発には賛成とも反対ともいえない」と話していた人が、「こんなに危険なものは、やっぱりいらない」と、一人ひとりが原発をなくしたいという思いを確かなものにしていきました。
Peace 未来を語る
さらに大きな変化は、原発問題に取り組むなかで、メンバーそれぞれが自分の人生や生き方と真剣に向き合い、社会のあり方を考え始めたことでした。当初、「原発は難しくて、よく分からない」と話していた人が、「考えない方が楽だけど、自分は目をそらしたくない」と真剣に思いを語ってくれるようになりました。河合さんもまた「原発の問題を避けたまま、今ある現実に向き合うことをせずに、自分の幸せも世の中の幸せもない」と気づいたといいます。
「原発を通してアメリカという大きな山が見えてきた。米軍基地の問題と根は同じ」「どうしたらみんなの声が届く社会になるのだろうか」「お金に縛られない社会をつくれないのか」―。
真剣に語り合う仲間の姿を間近にして、村井さんは「これまでにない規模で若い人たちが新しい社会を模索し、どうしたら平和な社会をつくっていけるかを考え始めている」と感じています。
いま、仲間と共に未来を語れることが幸せだという村井さん。「真実を知ることと共に、同じ思いを持った人たちとつながることが、平和な未来をつくり原発をなくしていく力になると感じています」
「ピースライブ 2012」
20日(土)JR福井駅前西口広場にて、午前10時から。入場無料。
音楽ライブ、トークライブ、アート展、書道パフォーマンス、自然エネルギー体験、エコ・キャンドル作り&キャンドルナイトなどのイベントを開催。
問い合わせ 電話090(9443)8750(河合)
http://future.jpn.org/fukui/peaceaction/