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2012年10月5日(金)

初日から学校・病院上空 平然と

オスプレイ、ルール破り

本格運用で危険 全国にも

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 普天間基地(沖縄県宜野湾市)への強行配備が始まった米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイ。配備撤回の声を上げ続ける沖縄県民を上空からあざ笑うように、日米両政府が合意した運用ルールは飛来初日から踏み破られる事態が相次いでいます。合意無視の飛行が全国に広がる危険が現実味を帯びてきています。(池田晋)


県民の総意侮辱

写真

(写真)普天間基地に飛来するMV22オスプレイ。左奥は2004年に米軍ヘリが墜落する事故があった沖縄国際大学=2日、沖縄県宜野湾市

 オスプレイ配備に向けての日米合同委員会合意では、基地への進入や出発の際には「学校や病院を含む人口密集地上空を避ける」という「安全策」を示しました。

 しかし、飛来した9機はいずれも多くの学校や病院の上を低空で通過して、基地に進入(地図)。2日目に飛来した3機は、2004年の米軍ヘリ墜落事故の記憶を呼び覚ますように沖縄国際大上空で悠然と旋回しながら降下しました。

 市街地のまん中にある普天間基地周辺には保育施設や学校、病院、公共施設が林立しており、新たな「安全策」がいかに街の現実とかい離しているかを見せつけました。

 回転翼の角度を切り替える転換モードの飛行は「短時間に限る」とする「安全策」についても同様です。記者が目視した限りでは、9機すべてが普天間基地の数キロ手前から転換モードで飛来しました。

 そもそもこのルールは、飛行機とヘリの中間的な性格をもつことになるモード転換時に機体が不安定になりやすいとの指摘を受けて設けたもの。モロッコとフロリダの墜落も転換時に起きています。

 米軍にルールを順守する姿勢がないことは明らかで、宜野湾に加え那覇、浦添という首都圏並みの人口密集地域を初日から平然と転換モードで飛ぶ実態は県民への侮辱といえるものです。

すべて抜け穴で

 このような米軍まかせの運用がまかり通るのは、ルールにすべて「可能な限り」「必要最小限に制限」などの「抜け穴」がついているからです。本格運用を控え、夜間訓練や低空飛行訓練についても同様に踏み破られるおそれがあります。

 午後10時〜午前7時の夜間訓練について、米軍「環境レビュー」で示されたのは年間280回の大幅増の計画です。合同委員会合意では、「運用上、必要なものに制限」としていますが、「抜け穴」ルールではなんの歯止めにもならないことは、これまでの運用からも明らかです。

 全国7ルートで行う低空飛行訓練についても、航空法の規定約150メートルを順守するかのように書いていますが、「レビュー」で示されているのは高度約60メートルの超低空飛行の計画です。これにも「(安全)高度を下回る飛行をせざるを得ないこともある」と「抜け穴」が付いています。

 10月中にも始まる本格運用によって、沖縄で繰り返される安全無視の飛行は、全国に広がることになります。

新基地建設狙う

 今後、普天間基地での運用上の矛盾を逆手にとって、名護市辺野古への新基地建設の流れが息を吹き返す危険もあります。

 第3次改造内閣で再任された森本敏防衛相は1日、「普天間問題を実現できるよう前に進めていきたい」と改めて表明しました。

 また、オスプレイ配備と軌を一にして同県東村高江では、住民の強い反対を押し切って、防衛省は民家の近くにヘリパッド(着陸帯)の建設作業を連日強行しています。

 欠陥機オスプレイの強行配備は沖縄県内各地だけでなく、全国に矛盾を広げつつあります。日米両政府があくまで沖縄の総意を無視するならば、全国で連帯して配備撤回の意思を示すしか「オール沖縄」の声に応える道はありません。

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