2012年10月3日(水)
規制委揺るがした8日間
「赤旗」排除撤回 世論が追い詰めた
原子力規制委員会が大迷走の末、ついに「しんぶん赤旗」の記者会見排除方針を撤回しました。排除の理由がクルクル変わり、初めに「赤旗」排除ありき、の道理のなさが浮き彫りになるなか、国民の批判の声が日を追って拡大していました。
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特定の主義主張遠慮を
ネット沸騰
「公正中立のもとに報道いただくため、特定の主義主張を持った機関の機関紙はご遠慮いただきたい」
9月25日、本紙が規制委の記者会見への参加を求めたことにたいする原子力規制庁政策評価・広聴広報課の回答は、驚くべき内容でした。規制庁は原子力規制委員会の事務局を担う組織。回答では、さらにフリーの記者による会見参加についても「特定の主義主張を持って書かれている方はご遠慮いただいています」と述べ、憲法が禁止する検閲まがいの行為まで示唆しました。
本紙は翌26日付で「『特定の主義主張 ご遠慮いただく』 原子力規制委が取材規制」の見出しで報道。するとたちまち記事へのインターネットアクセス数は2万1000件に上り、「これでは、原子力規制庁どころか言論規制庁だ」「原子力規制委員会の最初の仕事は報道“規制”だった」と怒りの声が沸騰しました。
政党機関紙だから…
フリー反論
同日開かれた第2回規制委員会後の記者会見でも「なぜ『赤旗』排除か」と質問が相次ぎ、規制庁側もさすがに「特定の主義主張」うんぬんという当初の理由を撤回。
規制庁側が代わりに持ち出したのは「政党機関紙は報道を事業とする趣旨からいうと違う」という理屈。「政党機関紙だから」を繰り返しました。しかし、これにも本紙28日付でフリーランス編集者の渡部真さんが「政党の機関紙だからと排除されるのはおかしい。規制委員会の対応は、情報公開に逆行しトンチンカンだ」とのコメントを寄せました。
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記者会見室広さに限り
席埋まらず
さらに27日、本紙が、取材規制で政党機関紙を線引きにする不当さを指摘すると、規制庁側は、「『赤旗』を認めると、すべての機関紙の会見への参加ということになり、記者会見室が広さに限りがあるなか、収容人数からいっても十分に対応できない」と、会見スペースの問題まで持ち出すありさま。
一般メディアからも批判の声が広がりました。「東京」は「『主義主張』で排除されれば、大手紙であっても締め出されかねない」(28日付)と指摘。「毎日」29日付も「(規制委の)『透明性』に疑問の声も出ている」と報じました。
会見スペースについて「東京」は「席は三分の二しか埋まっておらず、言い訳にすぎない」という会見出席者の声を紹介しました。
この間、本紙は「おかしいぞ!! 原子力規制委 『赤旗』排除に批判広がる」「『赤旗』排除ありきの原子力規制委 理由は日替わり 大迷走」などの見出しで連日報道。「規制委は直ちに改めるべきだ」と主張を掲載しました。
「赤旗」排除への批判の声はやまず、28日に行われた首相官邸前抗議行動でも、参加者から「透明性が大事だといっていたのに、許せない」と怒りの声が相次いでいました。
一方、規制庁側は先週まで「政党機関紙はご遠慮いただく。見直しはしない」としていました。
「赤旗」排除やめますm(_ _)m
大迷走の末
10月1日、本紙は報道の範囲を決めた経緯を問い合わせました。規制庁の広報担当は、記者会見参加の基準に、昨年開かれていた政府・東京電力統合対策室合同記者会見(統合会見)に参加していたかどうかという、口実を持ち出しました。
統合会見は、福島第1原発事故後の昨年4月25日から12月16日まで、東京電力と国の原子力安全委員会、経済産業省原子力安全・保安院、文部科学省の参加で開かれたもので、会見出席に事前登録が必要で、本紙記者も登録のうえ参加して質問もしています。
統合会見の議事録が内閣官房のウェブサイトに掲載されており、本紙記者の参加は一目瞭然なのです。
事実を前に、「赤旗」排除の道理の無さは、いっそう明白になっていました。