2012年9月30日(日)
生活保護
使い道まで管理
厚労省 受給抑制へ「たたき台」
厚労省が28日の社会保障審議会特別部会に「生活支援戦略」のたたき台として示した生活保護制度改悪案には、扶養義務の強化(29日付既報)だけでなく、生活保護費の使い道を福祉事務所が調べるなど行政側の権限拡大や受給者への管理強化が盛り込まれています。
「たたき台」は、不正受給対策を名目に、現行では保護申請者の「資産および収入の状況」に限定されている福祉事務所の調査権限を、受給者の「就労の状況や保護費の支出の状況等」にまで広げることを明記。調査対象者についても現行の「要保護者および扶養義務者」に加え、さかのぼって「過去に保護を受給していた者およびその扶養義務者」を追加するとしています。税務署など官公署が回答する義務を「創設する方向で検討する」としています。
また受給者の健康管理にまで踏み込み、これまで個人情報保護の観点から入手が難しかった本人の健康診断の結果を福祉事務所が入手することを可能にするとしています。法律には「受給者自らが健康管理を行うことの責務を明記」するとしました。
法律上「保護費の適切な管理」を「責務として位置付け」るとし、福祉事務所の判断で、受給者に「領収書の保存や家計簿の作成など支出内容を事後でも把握できるような取り組みを求める」ことを掲げています。
たたき台の骨子
・扶養を断る親族に説明責任
・資産について税務署にも回答義務
・保護費使途や就労状況などの調査権限を自治体に付与
・健康診断の結果を自治体が把握し指導
・「低額・短時間であってもまず就労」の方針を明確化
・就業活動に取り組めば保護費を増額
・収入の一部を自治体が積み立てる制度の創設
・不正受給に対する罰則強化