2012年9月30日(日)
きょうの潮流
これぞ、かつて火星に水が流れていた証拠。アメリカ航空宇宙局が、写真を発表しました▼なるほど。地球ではおなじみの、礫岩(れきがん)が写っています。水で運ばれた小石が砂や泥とともに積み重なってできる、礫岩。地球の河原でみかける、礫岩の丸い石が火星にも転がっていました。さて、水があれば生命も?▼ところで、火星に領土はありません。空想科学小説のように地球人が争いを持ち込まないかぎり。岩と砂の惑星、火星をみてこう語る人もいます。地球も、環境の破壊で生命がすめなくなるかもしれない。みんなで地球全体の未来を考えるときなのに、領土をめぐって争うなどおかしい…▼とはいえ、国があり人の経済活動があれば、領土のもめごとは起こりえます。経団連の米倉会長が、野田首相らに忠告しました。「中国側が『問題がある』といっているのに対して、日本は解決する意志は全然ないという態度を示していることになる。もう少し柔軟に」。尖閣諸島をめぐって「領土問題は存在しない」という、政府への苦言です▼政府が「存在しない」と貝になっている間に、中国は自分の考えを世界に向けて語り、中国や台湾の船が尖閣におしよせます。しかし、「存在しない」の建前から交渉の余地は生まれにくい。交渉で解決する気がないと、行き着く先は? 「目には目を」から軍事に頼れば危険です▼火星は、古代のギリシャやローマの神話では戦争の神です。中国と経済関係を築く財界も、軍神のお出ましは困るでしょう。