2012年9月29日(土)
主張
赤旗記者の会見排除
規制委は直ちに改めるべきだ
19日に発足したばかりの原子力規制委員会が記者会見から「しんぶん赤旗」の記者を排除した問題は、度重なる抗議にもかかわらずいまだに改められず、マスメディアやインターネットなどでも大きな問題になっています。ことは取材・報道の自由とともに、原子力規制委の基本姿勢にも関わる問題です。絶対あいまいにすませるわけにはいきません。
安全に公開性は不可欠
もともと規制委など公的な機関が公的な場を使って開く記者会見が、新聞、放送など企業所属の記者はもちろん、企業に属さないフリーランスの記者や政党・団体の機関紙の記者など、報道を目的とするものに広く開かれるのは当然のことです。政党機関紙だからと排除されるいわれはなく、戦前からの歴史を持ち、現に多くの読者に読まれている「しんぶん赤旗」を報道機関扱いしないのは、まったく現実を見ない暴論であり、侮辱そのものです。
とりわけ、今回の赤旗記者の排除で重大なのは、原子力規制委が東京電力福島原発などの重大事故を契機に、これまで一体だった原子力の「推進」と「規制」を分離し、「国民の生命、健康及び財産の保護」などをうたって設置されたことです。規制委員会設置法はその目的や任務を踏まえ、第25条で、「国民の知る権利の保障に資するため、その保有する情報の公開を徹底することにより、その運営の透明性を確保しなければならない」と定めています。都合の悪い情報は国民に隠し、重大な事故を引き起こした教訓に照らし、情報の公開は当然のことです。
原発による事故は広範囲に影響が及び、その情報の公開はときには一分一刻を争います。そのことを考えれば、規制委による記者会見はできるだけ広い範囲を対象に行われるべきであり、現に規制委も「報道機関を既存官庁よりも広く捉え、報道を事業として行う団体や個人を対象にする」と決めています。記者会見からの赤旗記者の排除は、事故の反省はもちろん、原発の危険性から国民を守る規制委本来の目的にも反する、言語道断な暴挙というほかありません。
実際、昨年の福島事故後、赤旗記者は、政府と東電が設置した対策本部や、規制委の前身のひとつの原子力安全委員会、原子力規制庁の前身の経済産業省安全・保安院の記者会見などに参加してきました。福島原発事故の緊急性に照らせば当然のことであり、赤旗記者の質問がマスメディアなどでも注目されこそすれ、排除されたことはありません。事故がいまだに収束していないことを考えても、赤旗記者の排除は直ちに撤回されるべきです。
報道“規制”委なのか
「しんぶん赤旗」の追及に、規制委の説明は二転三転しています。最初は「特定の主義主張を持つ方は遠慮してもらう」としていましたが、それこそ言論弾圧そのものです。規制委の田中俊一委員長は「独立性」を口にしましたが、委員会の独立性と、記者会見に参加する記者の選別は関係ありません。ついにはいうに事欠いて、スペースがないと言い訳する始末です。
もし規制委が赤旗記者の排除をあくまで改めないなら、それこそ規制委は「原発なくせ」の主張を敵視する、報道“規制”委なのかとの批判を免れなくなります。