2012年9月28日(金)
オスプレイ 政府“自動回転機能は保持”
無理な想定でごまかし
28日にも沖縄の普天間基地(宜野湾市)に配備が強行されようとしている米海兵隊機MV22オスプレイ。日本政府は、飛行時のエンジン停止という緊急事態でも安全に着陸できるオートローテーション(自動回転飛行)能力について「機能自体は保持」しているとして、人口密集地に墜落することなく帰着できるかのような説明をしています。
しかし、政府が根拠にしているのは、シミュレーターによるオートローテーション訓練の視察結果です。現実の条件を2倍上回った飛行高度・速度が前提になっており、ありえない想定となっています。
その想定は、オスプレイが、ナセル(回転翼の付いたエンジン部)を水平方向から上に87度傾けた状態で、高度2000フィート(608メートル)を、速度120ノット(時速222キロ)で飛行するというもの。この時に両エンジンが停止し、直ちにナセルを後方いっぱい(96度)に傾けてオートローテーションを始めます。
機体の着地時の速度は70ノット(時速130キロ)で、地面で2、3回バウンド。これについて政府自身も「機体損傷の可能性は排除されない」と安全に着陸できないことを認めつつも、「機能は有している」と断定しました。
オスプレイの垂直離着陸モード時の最高速度は100〜120ノットとされます。つまり、オスプレイは最高速度を出している時しかオートローテーションができません。シミュレーターはその中でも、120ノットという最大値が設定されていたことになります。
米軍がオスプレイの沖縄配備のために作成した「環境レビュー」には、普天間基地でのさまざまな飛行パターンが示されています。それによると、ナセルを87度に傾けた状態での飛行速度はおおむね60ノット。120ノットで飛行するようなケースはどこにも想定されていません。
高度も、シミュレーターの設定が2000フィートなのに対し、オスプレイが普天間基地で実際に利用する場周経路の最低高度は1000フィート(304メートル)です。
19日発表された日米合同委員会の議事録は次のようなやりとりを明らかにしています。
日本政府代表「MV22が、既存の場周経路からオートローテーションによって安全に普天間飛行場へ帰還する能力を有することを確認したい」
米政府代表「両エンジンの故障という、オートローテーションが必要となる極めて想定し難い事態において、パイロットは飛行場内に安全に帰還するためのあらゆる措置をとる」
米政府代表も体よく確認を拒否しているのです。 (榎本好孝)
|