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2012年9月28日(金)

「即時原発ゼロ」を

増え続ける使用済み核燃料

再稼働なら6年で満杯

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 ただちに「原発ゼロの日本」を―。これが切実・緊急な課題となっているのは、日本共産党が25日発表した提言「『即時原発ゼロ』の実現を」が強調するように、原発を使い続ければ、処理する方法のない「核のゴミ」=使用済み核燃料が増え続け、危険な遺産を将来に押し付けることになるからです。原発が抱える根本矛盾である使用済み核燃料問題を検証します。(間宮利夫)


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(写真)六ケ所再処理工場=青森県六ケ所村

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(写真)日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」=福井県敦賀市

 使用済み核燃料には、原発の運転中に核分裂性のウラン235が核分裂してできたさまざまな放射性物質が含まれています。核分裂生成物(いわゆる「死の灰」)です。また、ウラン燃料の大部分を占める核分裂性でないウラン238が運転中に中性子を吸収したりすることで生じるプルトニウム239などの「超ウラン元素」も含まれています。核分裂生成物は強い放射線を出し、「超ウラン元素」は長期間放射線を出し続けるという特徴があります。

1万4200トンを貯蔵

 使用済み核燃料は現在、福島第1原発を含む全国17カ所の原子力発電所の54基(廃止となった福島第1原発1〜4号機を含む)の原子炉建屋や、原子炉に隣接する建物などにある使用済み燃料プールに1万4200トンが貯蔵されています(2011年9月現在、電気事業連合会の資料から)。

ますます増える

 日本で使われている商業用原発は軽水炉と呼ばれるタイプで、ウラン235の割合は3〜4%程度の「低濃縮ウラン燃料」を使っています。運転中にウラン235の割合は少なくなるため、一定期間燃焼させた核燃料は使用済み核燃料として、原発の定期検査時に新しい核燃料と交換します。このため、関西電力大飯原発3、4号機に続いて残る48基を再稼働すれば、使用済み核燃料はますます増えることになります。

 各原子力発電所の使用済み核燃料貯蔵容量は合わせて2万630トンです。日本学術会議が今月11日に行った原子力委員会委員長から受けた審議依頼に対する回答では、「単純計算をした場合、それぞれの発電所をこれまで通り運転をすると約6年で満杯となる」と指摘しています。

核燃サイクル破綻 処理できない「核のゴミ」

 増え続ける使用済み核燃料を再処理して、燃え残りのウランと、新たに生成したプルトニウムを取り出して、燃料として使おう―。これが、政府・電力会社が推進している核燃料サイクル計画です。

再処理工場 トラブル続出 高速増殖炉 欧米は開発撤退

 その柱の一つが青森県六ケ所村にある日本原燃の再処理工場です。

 全国の原発で発生した使用済み核燃料を集め、被覆管を切断して取り出したペレットを化学処理してウランとプルトニウムを取り出す、巨大な「放射能化学工場」です。ウランとプルトニウムを取り出した後に残る「死の灰」や「超ウラン元素」を含む高レベル放射性廃棄物は、ガラスと混ぜて固めたうえでステンレス製の容器に入れた「ガラス固化体」に加工します。

 1993年に着工し、97年に完成予定でしたがトラブル続出で大幅に遅れています。2001年に試験を始めたものの、03年には総延長1300キロに達する配管に300近い溶接不良箇所が見つかりました。その後も、放射性物質を含む廃液が漏れたり、作業員が被ばくする事故が次々発生。08年には、ガラス固化体をつくる溶融炉内に入れた、かくはん用の棒が抜けなくなり、長期に試験を中断。今年、再開したものの、今月、19回目の完工延期を発表せざるを得ませんでした。

 再処理の方法は軍事技術を転用したもので、世界各地にある再処理工場では爆発事故などが相次ぎ、工程自体、確立したものでないことを示しています。政府は、高レベル放射性廃棄物を固めたガラス固化体を地中深く埋める「地層処分」するとしていますが、その見通しは全くたっていません。日本の原発の現状を表す「トイレなきマンション」の象徴となっています。

推進変えぬ政府

 核燃料サイクル計画のもう一つの柱が、再処理して取り出したプルトニウムを燃やす高速増殖炉です。

 高速増殖炉は、使った以上のプルトニウムを作り出せる“夢の原子炉”と呼ばれます。しかし、空気や水にふれると激しく反応するナトリウムを冷却材として使う技術的困難さなどから欧米諸国は開発から撤退しています。

 旧動力炉・核燃料開発事業団(動燃=現日本原子力研究開発機構)が福井県敦賀市に建設した高速増殖炉の原型炉「もんじゅ」も、運転を開始した直後の1995年にナトリウム漏れ・火災事故を起こしました。政府は14年半近く運転できない状態が続いたもんじゅの運転を2010年に強行したものの、3カ月後には原子炉の中に重さ3トンの金属装置を落とす事故を起こし、再び停止したままになっています。

 このように、使用済み核燃料の再処理も高速増殖炉も破綻は明白です。しかし、枝野幸男経済産業相は今月15日、青森県の三村申吾知事らと会談し、再処理の継続を明言。また、平野博文文部科学相は18日、福井県の西川一誠知事と会談し、もんじゅについて従来の政策に大きな変更はないと述べました。

プールは満杯状態

 政府・電力会社が核燃料サイクルに固執するのはなぜでしょうか。その一つに、原発を再稼働すれば早晩行き場がなくなる使用済み核燃料の受け入れ先を確保する狙いがあります。

 再処理工場には3000トンの使用済み核燃料を入れることができるプールがあります。再処理は行き詰まったままなのに、同工場は3344トンの使用済み核燃料を受け入れています。このうち425トンは試験で使用したとしていますが、プールはほぼ満杯状態です。

 再処理を進め、原発から出る使用済み核燃料を受け入れられるようにしたい―。これが政府・電力会社の本音です。しかし、再処理が進めば取り出されたプルトニウムが増え、その処理が問題になります。高速増殖炉が暗礁に乗り上げる中、政府はプルトニウムを含むMOX(混合酸化物)燃料を商業用原発で燃やすプルサーマルで乗り切ろうとしています。そのためには原発を動かさなくてはならない―。

 原発を再稼働すれば、こんな悪循環の下で、処理する方法のない「核のゴミ」は増え続けます。これを断ち切るためにも、ただちに「原発ゼロ」を実現する以外ありません。

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