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2012年9月25日(火)

主張

「原発ゼロ」見送り

財界とアメリカの圧力が元凶

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 野田佳彦政権が「2030年代に原発稼働ゼロ」を盛り込んだ「エネルギー・環境戦略」の閣議決定を見送ったことに関連し、財界とアメリカの圧力が背景だったことが浮き彫りにされています。

 「原発ゼロ」は、東京電力福島第1原発の重大な震災事故を受け、国民が切望していたものです。野田政権の「戦略」は「2030年代に」というだけで期限も明示しないただのお題目に過ぎませんが、それさえつぶしてしまおうという財界とアメリカの圧力は国民を敵視するもので、見過ごしにするわけにはいきません。

手のひらを返したように

 野田政権は先週19日の閣議で「戦略」そのものの閣議決定を見送り、「国民の理解を得つつ、柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら遂行する」ことだけを決めました。「原発ゼロ」の立場そのものを大幅に後退させているのは明らかです。「国民の理解を得つつ」などといいますが、圧倒的多数の国民は原発から即時撤退することを求めており、野田政権の眼中に国民はありません。

 閣議決定見送りの過程で、異常を極めたのは財界です。財界は原発をゼロにすれば電力が不足するなどと騒ぎ立て、閣議決定の前日には経団連、経済同友会、日本商工会議所の財界3団体のトップがそろって記者会見し、「エネルギー戦略をゼロからつくり直す」(米倉弘昌経団連会長)よう求めました。閣議決定が見送られると、「(野田総理は)国政を担うにふさわしい優れた政治リーダー」(民主党代表再選にあたって米倉会長の談話)と手のひらを返したようにベタほめです。財界が「原発ゼロ」に反対するのは大企業の利益のためで、国民の安全は考慮の外です。

 一方アメリカも「原発ゼロ」の動きに懸念を表明していましたが、閣議決定の直前、米政府関係者が訪米した日本政府関係者に「原発ゼロ」の目標決定に反対表明していたことが明らかになりました(「東京」22日付など)。

 アメリカは日本が原発から撤退することがアメリカの原子力産業にも影響することや、「安全保障上」の協力関係にも影響することを心配しているといわれます。ここでも念頭にあるのはアメリカと大企業の利益で、日本国民の安全は、二の次、三の次です。

 アメリカのアーミテージ元国務副長官らがことし8月まとめた米シンクタンクの報告は「原子力発電の慎重な再開は、日本にとって正しい、責任ある措置である」とのべ、日本の原発再稼働を促す圧力を加えています。国民が反対を続けている原発再稼働まで迫るアメリカの態度は、それこそ日本にたいする内政干渉という以外ありません。

野田政権追い詰めるため

 こうした財界やアメリカのいいぶんを批判するどころか、言葉だけ「原発ゼロ」を書き込んだ「戦略」でさえ閣議決定を見送ってしまった野田政権の態度は、まさにアメリカ・財界いいなりそのものです。閣議決定では「不断の検証と見直し」といっていますが、こうした姿勢では原発推進に屈し続けるのは明らかで、枝野幸男経産相は、「建設中」の原発も継続を認めると発言しだしています。

 財界とアメリカいいなりの野田政権を追い詰め、「原発ゼロ」をただちに実現していくには、国民の世論と運動が不可欠です。


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