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2012年9月24日(月)

「原発ゼロ」閣議決定見送り

政策転換へ不透明さ増す

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 野田内閣が「2030年代に原発稼働ゼロ」とした「革新的エネルギー・環境戦略」(新エネ戦略)の閣議決定を見送ったことで、「原発ゼロ」へ向けた政策転換の道筋が不透明さを増しています。

財・米が反発

 同戦略は政府のエネルギー環境会議(14日)が決めたものですが、もともと「原発ゼロ」への期限が2030年代と不明確で遅すぎることなど、大きな問題を含んでいます。しかし財界、米国は、「原発ゼロ」という表現が盛り込まれたことに激しく反発しました。

 18日の国家戦略会議では、政府の説明に対し、委員を務める経済同友会の長谷川閑史(やすちか)代表幹事らが「疑問」「違和感」を提示。同じく委員の日本経団連・米倉弘昌会長は同会議を欠席し、一方で長谷川代表幹事、日本商工会議所の岡村正会頭らと共に異例の緊急共同会見を開き、「新エネ戦略」について「到底受け入れられない」と表明しました。それでも古川元久・国家戦略担当相は、会見で「明日閣議決定の予定です」と明言していました。

 ところが19日の閣議では「新エネ戦略」そのものの閣議決定を見送り、同戦略を「踏まえて」と「参考文」扱いにする閣議決定を行いました。さらに、この決定文は、「新エネ戦略」について「関係自治体や国際社会等と責任ある議論を行い、国民の理解を得つつ、柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら遂行する」と、留保条件だらけの表現としたのです。

 これを見た米倉経団連会長は同日、政府の“2030年代の原発稼働ゼロ方針”について、「閣議の中で議論がなかったようで、一応回避できたのではないか」と記者団に述べ、先送りを評価しました。一方で、閣議決定が「原発ゼロ」を盛り込んだ「新エネ戦略」を「踏まえて」としていることに対し、「戦略自体は変わっていない」と述べ、今後も警戒していくことを表明しました。

「総合エネ調」

 19日の閣議後の記者会見で藤村修官房長官は、国のエネルギー政策の根幹を定める「エネルギー基本計画」の見直しに「2030年原発ゼロ」が盛り込まれるのかと問われ、「それは総合エネ調が決めること」と説明しました。変更があるということかとの質問にも、「それは総合エネ調が決める」と繰り返したのです。

 「総合エネ調」(総合資源エネルギー調査会)とは経済産業相の諮問機関。経産相はその意見を聞いて「エネルギー基本計画」の案を作成し、案は閣議決定を経て決定されます。「総合エネ調が決める」という藤村氏の発言は、「新エネ戦略」が「エネルギー基本計画」策定の方向性を必ずしも拘束しないということです。

 現在の「エネルギー基本計画」は2010年6月に策定されたもので、2030年までに原発を14基以上増設し、原発の電源構成比率を53%まで引き上げる方針でした。しかし、政府は福島第1原発事故を受けて新増設凍結の考えを示し、今夏までに全面的に見直すことになっています。

 「総合エネ調」の基本問題委員会の委員長は三村明夫新日鉄会長。三村氏は18日の会合で「原発ゼロに反対」の意思を表明し、「新エネルギー基本計画」策定の議論を続けることは現時点では難しいとの考えを示しました。「総合エネ調」で「原発ゼロ」の議論をすすめることができるかは全く不透明です。(中祖寅一)


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