2012年9月20日(木)
日航株再上場 名誉会長出身企業など“ぬれ手であわ”
京セラは45億円余
日本航空が再上場したことにより、第三者割当増資で株を引き受けた京セラなどの大企業や日航役員が“ぬれ手であわ”の利益をあげたことが明らかになりました。破たん前の個人株主からは、「不公平だ」と怒りの声があがっています。
日航が8月3日に関東財務局に提出した有価証券届出書によると、同社の稲盛和夫名誉会長が創業し、いまも個人筆頭株主の京セラなど8社は、日航の更生計画が終了する直前の昨年3月に、国が保有する日航株と同額の1株あたり2000円で、第三者割当増資を引き受けました。
引き受けたのは、京セラと、再上場の主幹事を務める大和証券グループ本社など。両社は、各50億円を出資し、各250万株を保有しました。ほかに東京海上日動火災保険などの機関投資家や、日航と関係の深い大手旅行会社の6社です。(表参照)
8月30日に日航が、「弊社株式の引受証券会社以外からの勧誘について(ご注意ください)」と注意を呼びかけるなど再上場前から“注目”を集めました。
初値は、事前の売り出し価格の3790円を20円上回って取引が始まり、一時は3900円を超える場面もありましたが、短期で利益を得ようとする売りも入って、3830円でこの日の取引を終えました。
京セラは、日航株を売却するわけではありませんが、1株あたり1830円、総額にして45億7500万円の“利益”を上げたことになります。
日航の大西賢会長、植木義晴社長ら20人の役員も、2010年12月に1人、100株ずつ、20万円で購入しており、18万3000円の“利益”を上げたことになります。
日航のパイロットなど大量解雇で空の安全を犠牲にする一方で、巨利を上げることに批判の声が出ています。新聞の投書にも「虎の子のお金でわずかな株を買った個人株主でしたが、株は紙くずになりました」「一方で第三者割当増資で、なじみの企業や日航役員が株を引き受けました。不公平です」(19日付「朝日」)と怒りの声が掲載されています。
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