2012年9月20日(木)
政府“安全宣言”
「自動回転」欠如認める
オスプレイ 米側「ある」といえず
オスプレイに関する日本政府の“安全宣言”は、飛行中にエンジンが停止した際、回転翼を空力で動かして安全に着陸するオートローテーション(自動回転)能力の欠如を事実上認めました。
このことを端的に示しているのは、19日に公表された日米合同委員会議事録です。
日本側代表「日本国政府は、MV22が、既存の場周経路からオートローテーションによって安全に普天間飛行場へ帰還する能力を有していることを確認したい」
米側代表「両エンジンの故障という、オートローテーションが必要となる極めて想定し難い事態において、パイロットは飛行場内に安全に帰還するためのあらゆる措置をとる」
ここで米側代表は「オートローテーション能力がある」とは答えなかったのです。「両エンジンの故障は想定し難い」としていますが、オスプレイのこれまでの事故で目立つのはエンジン故障です。2010年4月のアフガニスタンでの墜落事故もエンジン停止が原因とされています。
しかも、外務省と防衛省が同日発表した文書は「MV22はオートローテーションを要求性能とはしていない」「オートローテーションによる着陸を性能所要から削除」と明記。当初は必要な性能とされていたオートローテーション能力が開発過程で削除されたことを初めて認めました。
一方で、同文書は「MV22はオートローテーションに係る機能自体は保持」していると弁解しています。
ところが、それに続けて「ただし、MV22のオートローテーション中の降下率が一般の回転翼機に比べて高い」ので、「着陸の際、機体への損傷の可能性は排除されない」。「そのため、実機でのオートローテーション訓練は行われておらず、高性能シミュレータを活用した緊急着陸訓練を定期的に実施することとされている」とも述べています。
安全に着陸できないので実地の訓練は行っていないというのです。「機能自体は保持」といっても、安全に着陸できないというのは、オートローテーション能力がないということです。(榎本好孝)