2012年9月18日(火)
「平和の鐘」鳴り響く
日越国交樹立40周年を前に
ベトナム
|
【バクニン(ベトナム北部)=面川誠】ベトナム北部バクニンの博物館で17日、太平洋戦争中に同地の五戸寺から日本に持ち出され1978年に返還された「平和の鐘」を鳴らす平和祈念式典が開かれました。
来年の日越国交樹立40周年に向けて草の根から両国友好を固めようと、日本ベトナム友好協会とベトナム側のベトナム日本友好協会が協力して式典を開催。参加した約200人は、五戸寺のティック・フエ・ホン住職(39)を先頭に次々と鐘を打ち鳴らしました。
77年に五戸寺の梵鐘(ぼんしょう)を東京・銀座の古美術店で見つけた弁護士の渡辺卓郎さん(89)は車いすで参加し、ハノイでの返還式いらい34年ぶりに鐘と再会。「米国による侵略戦争を打ち破ったベトナム人民が打ち鳴らすからこそ、鐘の音は世界に向けた平和の呼び掛けになる」と語りました。
谷ア泰明・駐ベトナム大使がメッセージを寄せました。
「平和の鐘」はもともとバクニン省にある五戸寺の梵鐘。19世紀に戦火と盗賊によって2回も梵鐘を失った住民が、持ち寄った銅銭を溶かしてつくったものです。梵鐘に刻まれた銘文には、「物騒な世の中に平穏をもたらす鐘の音」を心待ちにしていた村人の思いが刻まれています。