2012年9月17日(月)
米、「尖閣」は中立
“安保適用”と解釈 解禁文書に明記
沖縄の海兵隊は「南西諸島防衛」のために必要。オスプレイを配備すれば、尖閣諸島「防衛」に役立つ―。このような俗論が流布されています。しかし、米国は尖閣諸島問題では日本と中国の間で「中立」を保ち、米軍による日本「防衛」の根拠とされる日米安保条約第5条が尖閣諸島にも適用されるように“見せかける”方針を確認していたことが、米解禁文書から浮かび上がってきました。
米国は1945年、沖縄の軍事占領で尖閣諸島を支配下に置き、72年の沖縄返還に伴い、沖縄の一部として同諸島を日本に返還しました。一方、米国は中国との国交正常化交渉も行っており、尖閣問題の対応に苦慮していました。
米国務省が72年3月に作成した「報道手引」(注)は「(日中間の)尖閣諸島の領有権争いについて中立であるという米国の基本的な立場に変更はない」との立場を示した上で、安保条約が適用されるかどうか問われた際「安保条約の条項は“日本施政下”に適用される、それゆえ尖閣諸島にも適用されると解釈できるようにこたえるべきである」と明記しています。
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米軍は尖閣諸島を「防衛」するという「解釈」を日本側に与えるとの立場です。
米国務省は現在もこの立場を踏襲しているように思われます。
ベントレル報道官は今年7月11日の記者会見で、「(尖閣諸島は)日米安保条約5条の範囲内である。なぜなら、1972年にわれわれが沖縄の一部として返還して以来、日本の施政下にあるからだ」と答えています。
また、前出の「報道手引」は「過熱する可能性を秘めている民族的・領土的な問題に対するもっとも賢明な手法は、できるだけ公衆の関心を集めないようにすることである」と指摘。極力、尖閣諸島問題を表面化させないとの立場も示しています。
注 この文書は、米民間機関「ナショナル・セキュリティ・アーカイブ」が米情報公開法に基づいて入手。