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2012年9月17日(月)

政治考 たたかいの現場に共産党がいた

W党首選には冷ややかな視線

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(写真)沖縄県民大会に参加する人たちと交流する志位和夫委員長(左)=9日、沖縄・宜野湾海浜公園

 「もっともやる気の出ない代表選」といわれる民主党代表選と、マスメディアが“お祭り騒ぎ”する自民党総裁選の「ダブル党首選」。一方で、国民のたたかいは各分野でかつてない盛り上がりをみせています。それらを通じてみえる政治の本当の景色は―。

◆……◆

 じりじりと太陽が照りつけた沖縄・宜野湾市の海浜公園。米軍垂直離着陸機オスプレイ配備反対の県民大会(9日)は、10万1千人が集まり、過去最大規模となりました。シンボルカラーの赤いシャツ姿で会場を回っていた日本共産党の志位和夫委員長、赤嶺政賢、笠井亮両衆院議員の姿がありました。

 13日、政府、米大使館、各党に要請にきた県民大会代表団の報告集会で、喜納(きな)昌春(まさはる)県議会議長はこう報告しました。

 「共産党は、とくに、志位委員長が(大会)前日からきて、実行委員会を含め激励をいただいた。そういう粘り強い一貫した運動を展開している政党ですから、連携を強めての要請になった」

 14日の金曜日夜。今度は官邸前行動に足を運び、集った数万人の市民と一体となった志位委員長がいました。

 「いますぐすべての原発をなくせ!」―。6月以来、ほぼ毎週、声を上げ続けています。

 ツイッターにこんな書き込みがありました。「志位さん、ホント頑張ってんな。“パフォーマンスに2〜3回出といて”って思っていたけど、このごろは『本気』だと思えてきた。志位さんがんばれ! 再稼働反対!」

◆……◆

 13日、大阪市内で開かれた民主党代表選の立会演説会。会場から出てきた女性(71)=元教師=は「消費税増税はダメだと思っている。脱原発でも(野田首相は)ダメ。打倒あるのみ。裏切り者。『決める政治』というけど何を決めるのか」と辛らつです。

 立会演説会は街頭ではなく、ホテルのなかで開かれました。2年前、大阪・梅田駅前で約3千人を集めて行ったのとは様変わりです。野田佳彦首相は就任以来、いまだ街頭演説に立っていません。公約をことごとく裏切り、国民の前に姿を現せない、内向きの代表選です。

 一方の自民党総裁選(26日投開票)は、立候補した5氏が告示直後からNHKはじめテレビ各局がニュース枠で特番扱いする異常さ。

 しかし、その顔ぶれといえば、全員が「世襲議員」で、なかには3世、4世まで。古参の自民党関係者は行きつけのすし屋でいわれました。「なんでまた、安倍(晋三)元首相が出てくるんですか。ひどすぎる…」

 15日の日本記者クラブでの総裁選公開討論は、会場の後ろに空席が目立ち、盛り上がりに欠けました。

◆……◆

 国民はどうみているのか―。原発再稼働に反対し、毎週金曜日の官邸前行動に集った人たちに評価を聞くと、「未来を見ている人がいない」(女性・59歳)「民主もダメだから自民というのは選択できない」(男性・21歳)と冷ややかです。

 私立大学の男子学生(19)はこう語りました。「ダブル選では原発のことを話題にしないようにふせている。世論を『盛り下げ』ようとしているのではないか。脱原発の政党が出てくるしかない。共産党もそうだが」


国民に不毛の選択 危険な路線政治ショー

民・自党首選、日本維新の会結成

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(写真)「原発いらない」とコールする人たち=14日夜、国会正門前

 民主党と自民党の「ダブル党首選」と「日本維新の会」の発足―。マスメディアが連日騒ぎたてていますが、国民にとっては危険な路線と不毛な選択が横たわるだけです。

■そろって改憲

 5候補乱立の自民党総裁選で目立つのは、そろって憲法改悪と、海外での武力行使に道を開く集団的自衛権行使の容認、尖閣諸島の実効支配の強化などを主張していること。メディアも「争点なき『次の首相』争奪」(「毎日」15日付)と報じています。

 安倍晋三首相時代の07年に、「戦後レジームからの脱却」を掲げて参院選で惨敗し、「憲法、憲法と言っているとまた選挙で負ける」との党内の“反省”も忘れてしまったかのようです。

 「5人も出れば、経済政策や安全保障、中国との付き合い方でもそれなりに違いが出て、自民党には幅があると感じたものだ。それがそろって同じことを言い、改憲や集団的自衛権の行使を押し出している。右翼政党になった」―。複数政党を渡り歩いてきたある秘書(民主党)はこう語ります。

 安倍元首相が改憲で“期待”をかけるのが「維新の会」。14日の共同記者会見でも「維新が大きな力になることは間違いない」と語りました。

 同会の橋下徹大阪市長も歩調を合わせるように、「集団的自衛権の行使」「靖国神社への参拝」を公言しました。(13日)

 民主党も野田佳彦首相自身が、集団的自衛権の行使を盛り込んだ自民党の「国家安全保障基本法案」について、「ひとつの考え方だ。国会でよい議論ができればいい」と共鳴(7月12日)。国家戦略会議の「フロンティア分科会」も集団的自衛権行使容認の提言を首相に提出しています。

 前出のベテラン秘書はいいます。「民主党が自民党でもやらなかったような日米同盟強化路線を進む中、自民党への抑制がなくなったことも大きい」

■増税の大連合

 自民党総裁選5候補は、消費税増税の3党合意の「維持」で一致。石原伸晃氏は谷垣禎一総裁を支え3党合意を進めた「当事者」であり、町村信孝氏は「私は実務責任者だった」「自民党の公約を実現した」と自慢しています。

 民主党の4候補は、野田首相はもちろん、赤松広隆元農水相、鹿野道彦前農水相は消費税増税に賛成。原口一博元総務相は増税法案の採決を棄権しましたが、「一体改革は避けて通れない」と述べています。

 橋下大阪市長も「当面の財源不足を補うための増税はやむを得ない」と容認姿勢を示しています。(13日)

 民主党から、自民、公明そして「維新」まで消費税増税の大連合状態です。

■野合への動き

 二大政党への不信が強まり崩壊が進むもとで、看板掛け替えの動きがまたぞろ強まっています。

 「日本維新の会」(12日)の結党大会では、自民、民主、みんなの各党から選挙目当ての脱落組7人が合流。民主党代表選では原口候補が「橋下さんは地域主権改革の同志だ」と持ち上げます。

 自民党にも、「維新」との連携を模索する動きがあります。合流を「維新」側から打診されたとされる中川秀直元幹事長は「自民党総裁選は、大連立路線VS『橋下新党』連携路線との戦いになる」と自身のブログで書いています。

 橋下氏は「国会議員が5人いないと政党は成立しない」などと述べましたが、「維新」がこだわったのは政党助成金や企業・団体献金を受けることのできる「政党の要件」です。

 橋下氏は、政党助成金を受けとるまでは企業・団体献金も「受け取る」と公言しています。

 13日、大阪市内で行われた民主党の立会演説会に出席していた市内で飲食店を経営する女性(68)はいいました。

 「維新は卑しい政治をしようとしているのに、(各党は)怖がりすぎ。人間の尊厳を壊そうとしているのに…」


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