2012年9月16日(日)
北海道幌延 核ゴミ地層廃棄研究施設
紙議員に政府「建設費超過」
地下水対策 難航裏づけ
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日本原子力研究開発機構「幌延深地層研究センター」(深地層研、北海道幌延町)の地下研究施設の建設費用が、当初予算見込み額(200億円)を超過することが15日までに、判明しました。日本共産党の紙智子参院議員の質問主意書に政府が答弁したもの。
原発の使用済み核燃料を再処理する際に出る「高レベル放射性廃棄物」は、10万年以上にわたって管理が必要な危険な核ゴミです。深地層研は地下300メートル以深に実験用地下坑道を掘り、核ゴミの地層廃棄技術を研究する施設。地元住民らは、地下施設が核ゴミの最終処分場になることを懸念しています。
答弁書は地下施設建設の進捗(しんちょく)率が約40%なのに、予算見込み額の約89%をすでに消費したと説明、「超過している」と認めました。超過の理由は「湧水抑制対策や排水処理施設」の費用が見込みを上回ったためとし、地下水対策に手こずっていることを明らかにしました。
政府側は、同廃棄物は岩盤による天然バリアと、ガラス固化と金属容器などによる人工バリアの組み合わせによる多重バリアで安全だとしています。しかし、万年単位というレベルでの実証はなく、地下水が多いと、核ゴミの放射能が漏れ出しやすくなるという危惧が指摘されています。もともと幌延の地下は、地下水や天然ガスを含んだもろい地層。電力会社からも「処分場には不適」との声が以前からあります。
答弁書は幌延のような地層で地下廃棄の研究や最終処分場を決定している国があるかどうか「承知していない」とも回答。日本の研究が特異であることを事実上、認めました。
また、答弁書は深地層研に民間企業から06年度からの6年間でのべ28人が出向していることを、明らかにしました。