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2012年9月16日(日)

主張

民主・自民党首選

閉塞打開の展望がみえない

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 民主党の代表選挙(21日投票)に続いて自民党の総裁選挙(26日投票)が始まっています。民主党では野田佳彦首相をはじめ4人の候補が、自民党では谷垣禎一総裁が立候補を断念し、石原伸晃幹事長ら5人が争っています。

 第1党と第2党の党首選びは政権を担当する首相指名にもつながるものです。にもかかわらず民主・自民の党首選からは、党内だけでなく両党間でも政策の違いが浮き彫りにならず、国民が不信を強めている政治の閉塞(へいそく)を打開する展望は見えてきません。

増税談合の継承競い合う

 いずれの党首選でも、先の通常国会で国民の反対を押し切って消費税の増税を決めた民主・自民・公明3党の増税談合の継承が論戦の前提となっていることが、違いを浮き立たせない最大の理由です。

 民主党代表選で優勢と見られる野田首相は「3党合意は重い」と、党首選後はあらためて自民党と協力し、消費税増税や社会保障改悪の具体化を進める構えです。他の候補も、自民党が国会最終盤で首相問責に賛成し「合意の基盤が崩れた」などの主張はありますが、3党が合意して強行した消費税増税などを否定する立場はありません。自民党総裁選でも現執行部を引き継ぐ石原幹事長をはじめ3党合意の継続では一致しています。

 民自公3党の合意は、民主党1党では実行できなかった公約違反の消費税増税などを実現するための談合です。国民が反対した消費税増税を3党が寄ってたかって国民に押し付けたものです。自民党が問責に賛成したのは国民の批判が無視しきれなかったための自己矛盾です。当事者の野田首相や石原幹事長をはじめ3党合意を否定しない候補では、誰が党首でも、国民無視の悪政が続くだけです。

 実際、民主党の代表候補も自民党の総裁候補も、消費税増税と社会保障の「一体改革」や日米同盟の強化などの政策で、その主張にほとんど違いがありません。「原発ゼロ」の進め方や環太平洋連携協定(TPP)への対応で多少違っても、その違いは政党によるというより候補者による差です。

 もともと民主党政権は、長年にわたった自民党の政治を変えることを約束してスタートしました。しかし政権交代から3年、公約違反を重ねて、現在の野田政権はすっかり自民党政権と違いがないところに立ち至っています。

 根本には自民党同様民主党にも、アメリカいいなり、財界本位の政治の害悪を正す立場がありません。その結果、大企業優遇の税制を続ける消費税の増税でも、オスプレイの沖縄配備など日米同盟の強化でも、政治の中身は変わらず、国民の閉塞感は深まる一方です。

台頭する右傾化の危険

 こうしたなか見過ごせないのは、自民党総裁選に立候補した5人の候補がそろって「改憲」を掲げるなど、“保守色”を競っていることです。「橋下・維新の会」にすりよる動きもあります。日本政治に台頭する右傾化の流れは危険です。

 安倍晋三元首相が、日本軍「慰安婦」問題での河野洋平官房長官談話の「見直し」などタカ派的な発言を突出させているのは重大です。国民の閉塞感につけこんで政治反動を進める策動は許されません。安倍氏が提携を明言する「橋下・維新の会」同様、反動的逆流にはきびしい批判が不可欠です。


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