2012年9月15日(土)
自民党総裁選
誰がなっても改憲・タカ派
集団的自衛権行使主張も
「右翼党首」選び様相
誰がなっても改憲・タカ派路線―。自民党総裁選(26日投開票)に立候補した顔ぶれです。候補者5氏は、そろいもそろって「国防軍」の創設など「憲法改正」を掲げ、なかでも海外での武力行使を可能にする「集団的自衛権の行使」を公約にしています。政権与党のときは「国民政党」を自称していた同党ですが、今回はまるで“右翼政党”の党首選びの様相です。
その最右翼に位置するのが、安倍晋三元首相です。共同記者会見でも「戦後体制の鎖を断ち切り、憲法改正に挑まないといけない」などと力み、「戦後レジーム(体制)からの脱却」をうたって大惨敗した2007年参院選、その後の政権投げ出しにもまったく無反省です。
石破茂元防衛相も負けず劣らずのタカ派ぶり。「憲法を改正したいという思いで自民党にいる」(14日、所見発表演説)と豪語し、「国防軍」の明記や集団的自衛権の行使を可能とすることなどを主張します。
石原伸晃幹事長も「国防軍の保持」「日米同盟をさらに強化し、集団的自衛権の一部行使を認める」と主張。町村信孝元官房長官、林芳正政調会長代理も「憲法改正」「集団的自衛権の行使」で足並みをそろえています。誰が総裁になっても憲法の平和原則を踏みつぶそうと狙っています。
共同記者会見では5氏とも橋下徹大阪市長が率いる「日本維新の会」と総選挙前に連携することは否定したものの、安倍氏が「教育再生の精神を現場で実践しており、憲法改正という大きな目標に向かって大きな力になる」と期待を表明しました。
歩調を合わせるように、橋下氏も「集団的自衛権の行使」を主張し、靖国神社参拝を公言。自民党と橋下「維新の会」の連携は重大な反動的逆流の形成を意味します。
自公時代の悪政復活
消費税増税の推進だけでなく、自公時代の悪政復活という点でも共通しています。
消費税大増税と社会保障を解体する民自公「3党合意」路線を幹事長として推進した石原氏が「3党合意に沿った改革の実現」を掲げているだけでなく、5氏一様に3党合意を「維持する」と明言。「不公正な生活保護の見直し(8000億円削減)」(石原氏)、「自立を前提とした生活保護制度の見直し」(安倍氏)、「自助自立のための環境づくり」(石破氏)など、5氏ともに社会保障削減路線の復活も共通です。
外交でも、「民主党政権の下で日米同盟が揺ら(いだ)」(石原氏)などと非難し、日米同盟の強化や「普天間基地の辺野古移設」などを主張しています。福島原発事故を招いた原発大量立地政策にも反省なく、5氏とも再稼働を容認する姿勢です。
「政策においてはそんなに違いはない」(安倍氏)、「大きな問題について5人がそれほど違うことはない」(林氏)のに乱立した今回の総裁選は、「次期首相」を狙ったまさに国民そっちのけの権力闘争。この党が、09年総選挙で国民が下した政権退場の審判に、いまだに無反省でいることをよく表しています。(竹原東吾)