2012年9月14日(金)
競合社内部資料 川重が事前入手
ヘリ談合 問われる防衛省関与
防衛省発注のヘリコプターをめぐる官製談合事件で、川崎重工(川重)が本来入手できない競合相手の富士重工の内部文書をひそかに入手していたことが13日、本紙が入手した川重の内部文書などでわかりました。川重が入手した富士重側の資料は、新型ヘリ「開発案」「経費計画」など。不正な情報入手によって、川重が受注工作を有利に進めたとみられます。
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官製談合の疑いが浮上しているのは、人員や物資輸送に使用する陸上自衛隊の多用途ヘリコプター「UHX」の開発事業です。
企画競争入札となった同事業には、川重と富士重が応募。両社は昨年11月15日までに技術提案書を提出しました。防衛省は、両社の提案書を審査し、今年3月に川重と35億2800万円で随意契約を結んでいます。
川重側作成の「【厳重取扱注意】F社調査書」と題した内部文書によると、「F社の調査書を営業より入手」と書かれ、「F社調査書(開発改造機)」「FHI調査書抜粋(経費計画)」と二つのパソコンデータが添付されていました。
「F社」「FHI」はいずれも富士重のこと。文書によれば、川重は遅くとも昨年3月28日までには、富士重の内部資料を入手していました。
また別の川重作成の文書では、「H23・5・16 営業より入手」として、「FHI調査書の新規開発案」と題したパソコンデータが添付されています。
いずれの文書も富士重が防衛省に昨年11月に提出した「UHX」の技術提案書の基となる重要データが含まれていたとみられます。
本紙の調査で、昨年5月18日に防衛省と川重の担当者などが秘密会合を開き、川重が有利となるよう秘密情報を漏えいしたことがわかっています。
富士重の内部情報を事前に入手することは、企画競争入札で川重を圧倒的に有利にします。この入手にあたって、防衛省の関与はなかったのか、解明が求められます。
今回の問題で、富士重の広報担当者は「事件については当社もわからないことが多く、調査している段階」と回答。川重は「何もコメントできない」としています。