2012年9月13日(木)
死者6000人減を明記
都が直下地震で防災計画案
東京都は12日、都地域防災計画の修正素案を公表しました。東日本大震災と、4月に公表した首都直下地震の被害想定を受けて改定するものですが、防災の基本理念として「自らの生命は自らが守る」という自己責任原則(自助)を強調しています。
都の被害想定は東京湾北部地震(マグニチュード7・3、震度7)が発生した場合、最大で死者9641人、建物の全壊・焼失30万4300棟などの被害が出るとしています。
素案は(1)自助・共助・公助を束ねた地震に強いまちづくり(2)都民の命と首都機能を守る危機管理の体制づくり(3)被害者の生活を支え、東京を早期に再生する仕組みづくり―の三つの視点から、▽死者6000人減▽建物の全壊20万棟減▽ライフラインを60日以内に95%以上回復、などの目標を掲げました。
減災対策では、大問題となっている木造住宅密集地域の耐震化や不燃・難燃化について、新たな助成など推進策は示さず、首都圏3環状道路の整備を強調しています。
津波対策については、水門や河川の堤防の耐震性の強化を図るとしていますが、「必要に応じて」としており、その中身はあいまいです。高さ20メートル以上の津波襲来が懸念される伊豆諸島については、ハザードマップの作成や避難施設の整備を行います。
昨年の福島第1原発事故で都内も放射性物質で汚染されたにもかかわらず、放射能対策は「都民の心理的動揺や混乱をできる限り低くする」などとしています。
都は10月5日まで都民の意見を募集し、11月に正式決定します。
都民に自己責任 都の役割あいまい
共産党・清水都議
都の修正素案は極めて不十分かつ重大な問題があります。
(1)基本理念として都民の自己責任を第一にあげ、都の責任と役割をあいまいにしている(2)被害想定が最悪を想定したものとなっていない(3)木造住宅の耐震化、不燃・難燃化は遅れているにもかかわらず、位置付けが弱い(4)都市施設の耐震化で重要な堤防について「必要に応じ」強化するだけという一方、都民の防災対策にほとんど役立たない3環状道路を強調している(5)原発事故対策は放射能から都民の命と健康を守る立場に欠けている―ことです。
同時に、わが党が要求してきた帰宅困難者対策、感震機能付き分電盤の普及、中小病院を災害医療支援病院に位置付けるなど部分的前進もあります。
地域防災計画が真に都民の命と健康、財産を守る実効あるものとなるよう全力を尽くします。