2012年9月2日(日)
フランス 失業問題深刻化
300万人弱に
労組、政府に対策迫る
欧州でドイツに次ぐ経済力を誇るフランスで景気停滞と失業問題が深刻化しています。5月の選挙で「成長」と「雇用」を掲げて当選したオランド大統領は政権発足から100日を迎えたばかりですが、ここにきて支持率が急落。労組は抜本的な雇用改善に向けた政策を政府に迫る構えです。(浅田信幸)
3四半期連続でゼロ成長となった同国では7月、失業者が4万人超の増加となりました。15カ月連続の増加で、失業者総数は298万7000人に達しました。
加えてこの間、自動車大手のプジョー・シトロエン8000人、航空会社エールフランス5000人、通信機器アルカテル・ルーセント5000人など、相次いで解雇リストラの計画が発表され、雇用悪化は今後も続くと予測されています。
こうした中、8月下旬に実施された世論調査によると、オランド大統領の支持率は前月の55%から44%に急落し、就任から3カ月で不支持の47%を下回りました。サルコジ前大統領の場合、支持・不支持の逆転は就任から9カ月後でした。
政府は8月29日、緊急措置として25歳以下を対象とする15万人雇用促進法案を閣議決定。1〜3年間、最低賃金の75%相当分を国が補助する内容で、5億ユーロ(約500億円)の支出を予定します。しかし、これに類する補助付き雇用はすでに40万人にのぼっており、中長期的な効果や費用対効果をめぐり疑問の声も少なくありません。
政権に近いとされる民主労働連盟(CFDT)のベルジェ副書記長は「失業は破局的規模に達している」とし、「緊急措置を超える」対策の必要性を強調。労働総同盟(CGT)のティボー書記長は「補助付き雇用は安定した雇用に結びつかない」とし、10月に「雇用」問題を掲げた大運動を提起しています。