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2012年8月27日(月)

きょうの潮流

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 シリア北部アレッポで命を落としたジャーナリストの山本美香さんが無言の帰宅をしました。同じ報道に携わる者として、深い哀悼の意を表したいと思います。同時に、最前線に出て戦場の真相を伝えようとした記者魂に敬意を表したい▼中東の圧政が次々に転覆された「アラブの春」では、インターネットを通じた情報が大きな力になりました。シリアのアサド政権はこれを恐れ、徹底的な情報統制を敷き、報道関係者を物理的に排除していると見られます▼シリアではこれまでに、外国人を含めて60人を超えるジャーナリストやブロガーなどの情報発信者が死亡。至近距離から撃たれるなど、最初から標的になって殺された者も少なくありません▼反政府勢力の取材ツアーに参加していた山本さんも政府側に狙い撃ちされた可能性があります。警視庁は刑法の「国外犯規定」に基づいて殺人容疑で捜査を始めました▼みずからが危険にさらされる戦場に足を踏み入れるか否かの判断は難しい。それでも、多くのジャーナリストが行きたいと考えるのは、非人道的な状況に置かれる人々の実情を伝えたいからです▼山本さんも、きっとそうだったのでしょう。最後に撮影したビデオには、アレッポで暮らす普通の人々の、そのままの表情が映っていました。犠牲者何人、生存者何人、といった統計上の数字のなかから一人ひとりの表情を映し出し、実情を伝える。まっとうすぎるぐらいまっとうな思いを貫いたのかもしれません。


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