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2012年8月23日(木)

橋下・大阪市長の「慰安婦」暴言

「河野談話」も国連報告書も「強制」認定

安倍発言の蒸し返し

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 「従軍慰安婦」問題に関し「強制連行というものの事実があったのかどうなのか、確たる証拠はなかった」という橋下徹大阪市長の発言は、自民党の安倍晋三元首相の発言を蒸し返したもので、すでに破綻した議論です。


写真

(写真)「慰安婦」被害者への日本政府の謝罪と賠償を求めて行われたちょうちんデモ=15日、東京・有楽町周辺

強制の核心

 1993年の慰安婦問題に関する河野洋平官房長官の談話は、「慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した」と明確に認定しています。

 「慰安婦の募集」についても、朝鮮半島は当時日本の統治下にあったと述べ、「その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反しておこなわれた」と断定。「更に、官憲等が直接これに加担した」としています。

 「本人たちの意思に反して集められた」というのは、まさに強制以外の何ものでもありません。

 強制性の核心である慰安所における生活についても、「河野談話」は「強制的な状況の下での痛ましいものであった」と述べています。こうした事実を裏付ける材料は無数にあります。

 橋下氏は「日本政府も日本国民に対して、しっかり従軍慰安婦問題についてもっと明確に見解を示さなければいけない」と言う前に「河野談話」をきちんと読むべきでしょう。

 安倍首相(当時)はこの「河野談話」を「継承している」(2006年10月、衆院予算委員会)と述べざるを得なかったものの、何とか旧日本軍の犯罪行為を免罪しようと、「狭義の強制性」として、「家に乗り込んでいって強引に連れて行った」行為しか強制と認めないという理屈を持ち出しました。しかし、強制性を否定した安倍発言は、米国など国際社会から批判が噴出。米下院は2007年、「日本政府による軍事的強制売春である『慰安婦』システムは、その残酷さと規模の大きさで前例のないもの」との批判決議をあげました。

当時も違法

 橋下氏はまた、「当時の時代背景において、慰安婦制度というものがどういうものだったのかということを真正面から議論しなきゃいけない」などと、当時では許された行為であるかのように発言しています。

 しかし、この問題についても国連人権委員会差別防止と少数者保護小委員会は1998年、慰安婦は事実上の奴隷であり、「当時ですら、奴隷制を禁じた慣習的国際法に明らかに違反していた」との報告書を採択しています。これがこの問題での国際社会の到達点です。

 橋下氏と「大阪維新の会」は国政進出への野望を強めていますが、橋下氏の発言は国政について論じる資格そのものが問われるものです。 (入沢隆文)


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