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2012年8月22日(水)

被災ローン減免 開始から1年

利用わずか

金融機関が周知に消極的 日弁連が批判

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(写真)制度の活用を訴える日弁連の集会=21日、国会内

 震災で二重ローンを抱える被災者の救済策として、既存ローンの返済を減免する「個人版私的整理ガイドライン」の利用がすすんでいません。運用開始から1年で、債務整理が成立したのは57件(17日現在)とごくわずか。21日には日本弁護士連合会(日弁連)が国会内で集会を開き、減免に消極的な金融機関の姿勢を批判して、被災者に制度を知らせる社会的責任を果たすべきだと訴えました。

 被災地では震災で家を失いながら、残された住宅ローンの返済に悩む被災者が少なくありません。沿岸自治体がすすめる集団移転では、抵当権が残っている宅地を行政が買い取らないなどの問題も起きています。

 こうした被災者の生活再建をすすめるため、一定の資金を被災者の手元に残しながら返済を免除するガイドラインが昨年8月22日に運用スタート。今年1月には、義援金や支援金、弔慰金のほかに手持ち資金を500万円まで残せるように制度改善も行われました。

「条件変更」

 ところが金融機関は、制度の利用ではなく、債務を残したまま返済を繰り延べるなどの「条件変更」を被災者にすすめています。住宅ローンの条件変更は今年4月に5444件にのぼり、ガイドラインの約100倍の利用になっています。

 21日の集会では、制度が活用されない原因について、日弁連東日本大震災・原子力発電所事故等対策本部の新里宏二副本部長が、「債務の減免ではなく、主に条件変更に流れている。ここに一番大きな問題がある」と指摘。

 本来は減免が受けられる被災者が支払いを続けている実態にふれ、「生活再建のために使われるべき手元の資金がローンにまわってしまう。すでに条件変更した人も含めて減免を適用するべきだ」と訴えました。

 被災地の弁護士会からは、減免に消極的な金融機関の姿勢が報告されました。

 宮城弁護士会の岩渕健彦弁護士は、金融機関に返済の相談をした被災者38人にアンケートを実施したところ、ガイドラインの案内を受けたのは15人だけだったと紹介。「沿岸の金融機関で被災者向けに制度の説明会をしたいと申し入れたが、いい答えがなく実現しない」と述べました。

 また、岩手弁護士会の吉江暢洋副会長も、金融機関が返済の条件変更を被災者にすすめながら、ガイドラインの存在を教えていないと話しました。

有効活用を

 日弁連の森山博副会長は、「集団移転が始まるこの時期に反転攻勢をかけて、制度を有効に活用し、一日でも早く被災者が生活再建できるようにしたい」と呼びかけました。

 集会には民主、自民、公明、社民などの衆参国会議員が参加。日本共産党の高橋ちづ子衆院議員は、「周知のほかにも、収入があると減免の対象とならないなどの問題があり、国会で取り上げてきた。みなさんと連携して頑張りたい」とあいさつしました。


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