2012年8月20日(月)
民主公約投げ捨て
雇用問題でも
今国会で野田・民主党政権は、雇用問題でも公約を投げ捨て、安定した雇用を求める労働者・国民の願いに背を向ける姿勢をあらわにしました。民主、自民、公明3党の密室談合によって、まともな審議もなく強行されたのも大きな特徴です。
自公に屈服
製造業派遣の「原則禁止」削除
公約の第一の裏切りは、労働者派遣法の抜本改正です。抜本改正は、2008年の「派遣切り」「年越し派遣村」が大きな社会問題となり、09年の政権交代の原動力となった問題でした。民主党は、「製造業派遣の禁止」などの改正を公約して支持を集め政権に就きました。
ところが、政府案は製造業派遣・登録型派遣の「原則禁止」といいながら、常用雇用を例外とするなど「抜け穴」だらけのものでした。しかも、この政府案さえ「アンチビジネス(反企業)」と攻撃する自民、公明に屈して「原則禁止」を削除。日雇い派遣禁止の例外を拡大し、違法派遣などがあれば派遣先に雇用させる「みなし雇用」は3年も先延ばししてしまいました。
日本共産党は「3党修正では政府案のわずかな規制の根幹部分への重大な改悪まで行っている」(高橋ちづ子衆院議員)と批判しました。
審議時間は衆院で2年間かけて7時間半、参院は今国会だけで4時間。派遣労働者の参考人質疑も行われませんでした。
審議のなかで民主党は「製造業派遣で仕事が回っている」(小宮山洋子厚労相)と述べるなど、「原則禁止」の公約を投げ捨てる姿勢を示しました。自公両党は「製造業派遣を禁止すれば日本の製造業は沈没する」(衛藤晟一参院議員・自民)などと迫りました。
財界が要求
有期契約禁ずる入り口規制放棄
パートなど有期労働に関する改定労働契約法(8月成立)も公約を裏切るものです。
低賃金で不安定な非正規労働者の増大に歯止めをかけるには、無期雇用を原則とし、合理的理由のない有期契約を禁止する「入り口規制」が必要です。民主党は野党時代からそのための規制法案を提出していました。
しかし、政府案では、規制強化に反対する財界の要求に従い、「入り口規制」をとりやめてしまいました。
契約更新を繰り返した場合、無期雇用に転換させる仕組みが新たに導入されました。しかし、要件となる通算契約期間が5年と長くクーリング(空白)期間を置けば通算しないなど、有期労働を使い続けることができる内容です。日本共産党は「人件費抑制という企業の都合で正規雇用の代替とされている現状を改善できない」(高橋氏)と主張しました。審議時間は衆院3時間余、参院で2時間余でした。
政府案は、年金支給までの継続雇用を企業に義務付ける高年齢者雇用安定法改定でも、「心身の故障」などを口実に企業が労働者を選別採用できる仕組みを設けました。財界・大企業の要求を代弁する自民党の要求を受け入れたものです。日本共産党は、年金支給まで雇用が継続されない労働者が多数出ることになりかねないと批判しました。
抜本改正案示す日本共産党
日本共産党は抜本改正案を掲げてたたかいました。
派遣法改定では「労働者を保護し、企業の身勝手な振る舞いを許さない抜本改正が必要だ」(高橋氏)として、製造業・登録型派遣の禁止、「みなし雇用」を期限の定めのない直接雇用とすることなどを提起しました。
労働契約法改定では「使い捨てをやめさせ安定した雇用をつくるための雇用のルールの確立こそ必要だ」(田村智子参院議員)として、期間の定めのない雇用を原則とし、有期雇用は臨時的・一時的な業務に限ることや、契約期間の上限は1年とすることなど抜本改正を提案しました。
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