2012年8月19日(日)
オスプレイ・モロッコ事故
マニュアル不備を指摘
米最終報告
米海兵隊は17日、今年4月11日にアフリカのモロッコで発生した垂直離着陸機MV22オスプレイの墜落事故(乗組員2人死亡、2人負傷)に関する最終報告書を公表しました。報告書は、離陸後の追い風を計算に入れなかった操縦士の判断ミスとマニュアル違反が「墜落の重要な要素」だったと結論づけましたが、マニュアル自体の不備も指摘しており、運用面での不安が払拭(ふっしょく)されたとは言い難い内容です。
報告書によれば、事故機がモロッコの空軍基地を垂直離陸した際、秒速約8〜14メートルの追い風が吹いていましたが、操縦かんを握っていた副操縦士は風速を正確に理解しておらず、許容範囲を超えた角度まで機体の旋回と回転翼の転換を行いました。
米海軍のマニュアルによれば、追い風の強さに応じて旋回や回転翼の転換の角度が制限されています。
また、旋回を終えた後、マニュアルに反して機体を水平に戻さないまま、回転翼の角度を変えて垂直離着陸モードから航空機モードに入ろうとしたことも指摘しています。
報告書は同時に、「マニュアルには離陸後や飛行モードの転換時に追い風を受けたときの対応がほとんど書いてない」として、改訂を求めています。
報告書は全体で27ページですが、操縦士への聞き取り記録など56点におよぶ添付文書は公開されていません。
米海兵隊の航空部門を統括するシュミドル副司令官は17日の記者会見で、「調査の結果、オスプレイには機体の欠陥はなく、安全性に問題はない」と述べ、予定通り10月から沖縄の普天間基地(宜野湾市)での運用を開始したいとの意向を示しました。