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2012年8月17日(金)

主張

「原発ゼロ」

民意に沿う決断から逃げるな

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 野田佳彦内閣が進める新しい「エネルギー・環境戦略」の策定作業で「原発ゼロ」を求める国民世論が広がるなか、決定自体を先延ばししようという策動が急浮上しています。各地で開かれた意見聴取会や約9万件が集まったといわれるパブリックコメント(意見公募)の結果をそのまま反映させず、専門家による検討会合を新たに設けるなどです。「戦略」の決定そのものも、来月以降に遅らせようとしています。「原発ゼロ」の民意をゆがめ、撤退の決断をしたくないから引き延ばすというのは、まさに言語道断です。

「原発ゼロ」が大きな流れ

 東京電力福島原発の震災事故を受け、民主党政権はこれまでのエネルギー政策を「白紙から」見直す(菅直人前首相)とし、新しい「エネルギー・環境戦略」を策定する作業を、各地の意見聴取会や「討論型」の世論調査、パブリックコメントなどを踏まえて進めるとしてきました。政府は2030年の原発依存度として「0%」「15%」「20〜25%」の3案を示しており、まず撤退を決断しようとしないそのやり方には問題があるものの、国民世論を反映させること自体は重要なことです。

 各地の意見聴取会はすでに全国11カ所で開催されましたが、自由に発言を求めた福島をのぞく10カ所の合計で「0%」支持の発言希望者が68%を占めました。福島では「即時」を含む「原発ゼロ」が圧倒的です。近く結果が発表される「討論型」の世論調査や、約9万件にのぼったパブリックコメントでも「0%」支持が圧倒的と見られます。原発からの撤退はまさに圧倒的な世論です。

 こうしたなかで「戦略」づくりを担当する古川元久国家戦略担当相が今週突然言い出したのが、世論調査の専門家による会合を旧盆明けから開き、パブリックコメントなどの結果を検証することです。国民の意思が鮮明になり迫られている、「原発ゼロ」の決断から逃げようとしているのは明白です。

 もともと野田政権は、菅前政権が言い出した「脱原発依存」の基本方針さえあいまいにし、「福島のような事故は二度と起きない」からと、関西電力大飯原発など停止中の原発の再稼働を進めてきました。「エネルギー・環境戦略」の策定で三つの選択肢を持ち出してきたのも、原発を温存し、推進するねらいは明らかです。

 一連の世論調査だけでなく、10万人規模の大集会や毎週金曜日の官邸前行動などで原発からの撤退を求める世論はますます広がっています。「原発ゼロ」を決断しないのはこうした国民の意思に背くものです。撤退の決断を引き延ばすのは許されません。

最悪の財界いいなり

 見過ごせないのは、野田政権が決定を遅らせる背景に経団連や経済同友会など財界の巻き返しがあることです。これまでも原発で恩恵を受けてきた電力会社や重電メーカー、建設会社などが大きな力をもつ財界は、「エネルギー戦略」の決定が大詰めを迎える中で相次いで「原発ゼロ」は「実現困難」などの意見書を発表しています。野田政権の態度はこうした財界の意向に従ったものです。

 まさに「財界いいなり」政治の極みです。野田政権がいくら「決められる政治」を目指すといってもこれでは国民に信用されません。


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