2012年8月16日(木)
「シリア犠牲2.3万人」
人権監視団発表
イスラム協力機構が緊急会議で対応協議
【カイロ=小泉大介】内戦状態が激化の一途をたどるシリア情勢をめぐり、英国に拠点を置く「シリア人権監視団」は14日、昨年3月に政府軍が住民弾圧を開始して以降の死者が2万3000人を超えたと発表しました。緊迫した状況がつづくなか、イスラム協力機構(OIC=56カ国とパレスチナ自治政府が加盟)が同日、緊急首脳会議を開くなど、事態打開に向けた国際社会の関与も強まっています。
「シリア人権監視団」によれば、昨年3月以降の死者のうち、民間人は1万6142人。今月に入ってからの死者は2409人で、連日200人近くが犠牲になっていることになります。
死者の急増に加え、国民の人道状況も深刻となっています。ロイター通信によれば、現在約150万人が国内避難民となり、隣国のトルコ、ヨルダン、レバノン、イラクに脱出する住民も後を絶たず、難民登録者は約15万人に達しています。
このような状況下、14日にサウジアラビアのメッカで開幕したOICの緊急首脳会議はシリア問題への対応を協議。前日開かれた外相会議は、シリア政府による軍事攻撃の継続を非難し、外交的圧力をかけるため同国のOIC加盟資格を停止することを含む最終声明案を起草しています。
一方、国連のエイモス人道問題調整官は14日、ダマスカス入りし、現場視察や政府要人との会談を相次いで行いました。同氏の報道官は現状に重大な懸念を示し、「戦闘がもたらしている民間人の苦しみを軽減するため、援助努力を緊急に拡大する必要がある」と表明しました。
また今月6日にシリアのアサド政権を離反したヒジャブ前首相は14日、滞在先のヨルダンの首都アンマンで離反後初めて会見。「政権は道徳的、財政的に崩壊しつつあり、軍事的な崩壊はさらに拡大している」として政府や軍の幹部に対し、政権を離反するよう呼び掛けました。