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2012年8月16日(木)

主張

教育のつどい

子どもの命守る学校と社会を

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 17日から3日間、「教育のつどい」(教育研究全国集会)が神戸市内で開催されます。

 大津市立中学校(滋賀県)の男子生徒の自殺事件を契機に、いま、いじめ問題があらためて国民的問題となっています。「つどい」にあわせ18日、いじめ問題の緊急シンポジウムも準備されました。

いじめ問題の議論

 「いじめは把握していない」「自殺との因果関係は不明」―。いじめを背景とする痛ましい自殺のたび砂をかむような対応が続いています。隠ぺい的な対応も同様です。

 子どもを守り育てる学校で、深刻ないじめが見抜けず止められず、子どもが死を選ぶ。それだけは防ぎたいと誰もが思います。不誠実な対応も止めたい。そのために何が必要なのか、全国の英知を集めた議論に期待が高まります。

 教育や子育てが壁にぶつかったとき、必ず行わなければならないことがあります。どうしてそんな言動をするのか、その子どもを理解することです。

 大津市の事件では被害生徒が「いじめではない」と主張し、学校側は「けんか」と判断しました。いじめ被害者がいじめを否定することは珍しくありません。思春期の、しかも暴力にさらされた子どもへの理解がどうだったのか、集団的でつっこんだ検討があったのか、問われます。

 子どもの理解は、いじめの問題に限りません。例えば「つどい」のリポートの一つに、暴力に荒れた中学校の話があります。入学当初の始業式に男子生徒が顔を血まみれにして倒れるなど、その学年はA君を中心にトラブルの日々が続きます。体調を崩す教師たち…。

 それでも教師は子どもの成育歴や環境を探り、一人ひとり丁寧に接します。一対一で話すと少しだけ素直になる生徒。やがて教師たちはA君のキックボクシングの試合の応援ツアーもおこない、親との関係も好転します。3年後の卒業式、真剣な生徒と、謝意を口にする保護者の姿がありました。

 重大なことは、競争と統制の教育が、子どもを理解し、向き合うという教育の根幹に破壊的な作用を及ぼしていることです。

 たとえば学力テストや進学実績などの数値目標の達成が至上命令となり、気になる子どもに時間をかけることは評価されない「余計なこと」となりつつあります。あるいは、教職員の異常な「多忙化」などで、学年会や職員会議で子どもの問題をつっこんで検討する時間が奪われています。

 競争教育の最大の被害者は子どもです。夏休みも長期の補習に山ほどの宿題という学校がふえています。他人と比較され続け自尊感情がもてない日本の子ども。幸福度は世界最低レベルです。

教育と社会の転換と重ね

 子どもの命を守り、幸せに育てるには、競争的な教育や社会の転換が欠かせません。その展望と重ねてこそ、目の前の子どもたちを支える営みが豊かに広がります。

 「つどい」のテーマは、東日本大震災復興のとりくみ、放射能の危険についての学び、新学習指導要領に抗しての授業づくり、不登校の子どもへの支援、障害のある子どもの教育、教育諸条件の整備など多彩です。子どもや保護者も参加します。みんなで集まって日本の教育を元気に。「つどい」の成功を心から期待します。


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