2012年8月13日(月)
シリア介入強まる
米国・トルコ作業部会設置へ
飛行禁止空域も視野
【カイロ=小泉大介】内戦状態激化のシリア情勢をめぐりクリントン米国務長官は11日、トルコのイスタンブールを訪問しダウトオール外相らと会談、反政府勢力支援のための両国による作業部会設置を確認しました。シリア国内の状況悪化に加え、国際社会における介入派と非介入派のさらなる対立の深まりが懸念される状況となっています。
クリントン国務長官はダウトオール外相との会談後の会見で、「われわれの一番の目的は、流血とアサド政権の早期終結をもたらすことだ」「(そのために)重要な責任と役割を負っている両国の情報機関と軍は、作業部会を設置する」と表明しました。
会談では反政府勢力支援や避難民支援、アサド政権崩壊後の対応などについて協議。クリントン氏は会見で、作業部会の具体的検討課題として政権側が化学兵器を使用した場合の対策に言及するとともに、軍事介入につながる飛行禁止空域の設定についても「綿密な分析が必要だ」と述べ、選択肢の一つであることを認めました。
シリア反政府勢力支援に関しては英国のヘイグ外相も10日、武器供与はしないものの、通信機器や医薬品など合わせて6億円超の拠出を行うと発表しており、外国の介入姿勢が一気に強まってきています。
これに対し、シリアのジャファリ国連大使は10日に公表された国連安全保障理事会への書簡のなかで、トルコが同国領土に反政府勢力支援のための「軍事作戦センター」を設置し、米国やイスラエルなどの情報機関が運用していると激しく批判しました。
9日にはシリアと「同盟」関係にあるイランが、ロシアなど約30カ国の政府代表の参加による国際会議を主催。サレヒ・イラン外相は「シリア危機の解決にあたり、あらゆる外国の介入、軍事的干渉に反対する」と表明し、欧米や一部アラブ国への対抗姿勢を鮮明にしていました。
シリア国内では首都ダマスカスや北部アレッポを中心とした政府軍と反政府武装勢力との戦闘で、連日100人を超える犠牲者が出ていることに加え、10日にはヨルダン国境付近でシリア・ヨルダン両国政府軍同士の戦闘が発生したと伝えられるなど、情勢は混迷の度を日々増しています。