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2012年8月13日(月)

主張

食料自給率

抜本引き上げこそが課題だ

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 食料の安定供給は国民の生活に欠くことのできない条件であり、農業はその土台です。国際的な食料価格の急上昇に懸念がつのるなか、食料自給率の抜本的な向上は国政の重要な課題です。

2年連続の40%割れ

 農水省が10日発表した2011年度の食料自給率(カロリーベース)は39%でした。日本農業の衰退に歯止めがかからないことを端的に示しています。日本の自給率は一貫して低下傾向をたどり、1970年には60%だったものが、89年に50%を割り、ここ2年は40%を割り込んでいます。

 主要国の食料自給率(09年)は米国130%、フランス121%、ドイツ93%などであり、日本の低さは際立っています。自給率が異常に低下したのは、自民党政権時代に米国と財界の圧力のもとで食料の輸入を自由化し、際限なく海外に依存してきたためです。

 自給率の向上を国民が要求するのは当然です。そのもとで、民主党は09年の政権公約(マニフェスト)で「食料自給率の向上」を掲げました。鳩山由紀夫政権は10年、「食料・農業・農村基本計画」を策定し、20年度に「50%」に引き上げるとの目標を決めました。

 しかし、いま野田佳彦政権は「例外なき関税撤廃」を原則とする環太平洋連携協定(TPP)への参加をしゃにむに推進しています。TPPに参加すれば農産物の輸入はとめどなく拡大し、日本農業に壊滅的打撃を与えることは明らかで、農水省の試算でも自給率は13%に落ち込むとされています。

 民主党政権は歴代自民党政権の誤りを徹底しようとしています。ここでも民主党の国民に対する裏切りは鮮明です。09年の政権公約は、自由貿易協定に関して「食料自給率の向上、国内農業・農村の振興などを損なうことは行わない」としていたのです。

 財界をはじめTPPを推進する人々は、打撃は農家経営の規模拡大で乗り越えられるかのように言います。しかし、TPPに参加する米国やオーストラリアなどの食料輸出大国と日本との競争力の格差は歴然としています。農家1戸当たり耕地面積は米国が日本の99倍、オーストラリアは1902倍にのぼります。平地の少ない日本とこれらの国々との競争は無理があります。

 世界の穀倉地帯である米国中西部でいま大規模な干ばつが起きています。穀物価格が跳ね上がり、トウモロコシは過去最高水準です。飼料も高騰し、飼料自給率がわずか26%と大半を輸入に依存している日本への影響が懸念されます。地球温暖化の進行を背景にして干ばつや洪水などの異常気象が世界各地で頻繁に起きています。食料価格の変動も激しく、輸入に依存する食料供給は明らかにぜい弱さを抱えています。

TPP参加認められぬ

 TPP交渉に前のめりの野田政権の姿勢は、食料自給率の向上など忘れ去ったかのようです。異常に低い自給率を顧みない政府の姿勢こそが、日本農業を衰退させてきたのです。

 日本農業を再生するには関税や輸入規制などの適切な国境措置を維持・強化することが不可欠であり、農業政策を自主的に決定する「食料主権」の確保が重要です。それを否定するTPPへの参加は絶対に認められません。


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