2012年8月13日(月)
オスプレイ低空訓練
21県138市町村を通過
本紙分析 墜落の危険、騒音被害強いる
米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイの配備に伴って実施される低空飛行訓練のルートが少なくとも全国21県138市町村にかかることが、「環境レビュー」で示されている6本のルートの本紙による分析で判明しました。→自治体一覧
「環境レビュー」で公表されたのは、グリーン、ピンク、ブルー、オレンジ、イエロー、パープルの6ルート。在沖縄海兵隊はこれ以外にも中国山地を貫くブラウンルートの使用を認めており、同ルートにかかる自治体を含めれば対象はさらに広がります。
しかし、防衛省が「レビュー」に関する情報を提供したのは、本土では30都府県18市町(7月23日時点)に限られます。ルートにかかる大半の市町村は、直接の情報提供すら受けていません。
「レビュー」では、オスプレイが日本の航空法の定める最低安全高度(人口密集地で300メートル、それ以外で150メートル)を大きく下回る高度約60メートルの訓練を行うことを想定しています。これまでも米軍機の爆音や衝撃波の被害に苦しんできたルート下の住民に、開発段階から相次ぐ墜落事故の危険に加えて、さらなる騒音被害を強いることは必至です。
各ルートには進路の切り替え地点(ポイント)が7〜11カ所設定されています。山頂や湖沼、有人島など自然地形を利用したものに加え、発電所や多数のダムなどの建造物にも設定されていることが分かりました。これらは仮想の「攻撃目標」にもなっているとみられます。
長野県飯山市や山形県小国町、徳島県海陽町では、市街地上空にポイントが設定されており、駅や役場が「目標」になっている可能性もあります。ポイント近辺に保育所や役場(高知県本山町)、役場支所(岐阜県高山市)、学校(和歌山県日高川町、熊本県水上村など)が位置するケースが複数あります。
本山町では、役場上空で低空飛行訓練を行う米軍機の姿がしばしば目撃されています。