2012年8月11日(土)
謝罪会見? 締めは“脅し”
野田首相 「決断する政治」の欺まん
消費税増税法案の成立を受けた10日の野田佳彦首相の記者会見は“謝罪”から始まる異例なものとなりました。
「消費税を引き上げることは2009年の総選挙マニフェストには明記をしていない。このことについては深く国民の皆さまにおわびをしたい」
「中小零細企業、厳しい生活のなかで苦労されている皆さまに負担をお願いする。本当に心苦しい気持ちでいっぱいである」
しかし、謝罪しなければならない増税法案なら提出するべきではないはず。「おわび」という言葉自体が欺瞞(ぎまん)に満ちています。
野田首相は「おわび」した上で、「負担無ければ給付なし。引き上げられた分はすべて社会保障として国民の皆さまに還元をされる」としました。しかし、民自公3党が合意した消費税増税法案の付則で大型公共事業に「重点的に配分すること」と書き込んだことには一切触れません。国民をだまして理解を得ようとする姑息(こそく)さが見えました。
本当に「心苦しい気持ち」なら衆参両院の議論で示された消費税に頼らない道に耳を傾けるはず。それを無視して「心苦しい」もないものです。
野田首相は欧州危機を例示し「日本をそのような国にしてはいけない。長期債務残高は世界一の水準」と国民を脅しつけましたが、長期のデフレ下で消費税を引き上げれば、日本経済をどん底に突き落とし、財政も危機に陥れることは多くのエコノミストが指摘していることです。
結局、最後には「決断する政治」と述べ、国民を苦難に追いやる大増税を決めたことを誇ってみせました。
(良)