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2012年8月6日(月)

主張

広島・長崎67年

国は被爆者救済の義務果たせ

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 アメリカがアジア太平洋戦争の末期の1945年8月、広島(6日)、長崎(9日)に原爆を投下してから67年になります。

 原爆の爆風と熱線、放射線は一瞬のうちに両市を壊滅させ、広島市では14万人以上、長崎市では7万3千人以上の命を奪いました。助かった人たちも原爆症で苦しみ、毎年少なくない方たちがなくなっています。日本が始めた侵略戦争の結果とはいえ、非人道的な原爆投下による被害者の救済は一刻を争います。被爆者に寄り添った対策を政府は急ぐべきです。

司法は国を断罪した

 原爆症認定集団訴訟で連敗したことをうけて国は2008年に新基準を導入し、がんや白内障、心筋梗塞など七つの病気について「積極認定」を約束しました。しかしその後も国は申請を却下しており、被爆者が各地で新たな認定訴訟をおこしています。

 大阪地裁はことし3月、新基準に照らせば認定の対象となる心筋梗塞をわずらう2人の申請を却下したことを批判し、うち1人には却下取り消しを、他の1人には国に原爆症の認定を命じる画期的な判決(確定)をだしました。

 判決は、原爆が爆発した直後の初期放射線による被害のみを判断材料にする国の審査の在り方を批判し、残留放射線や放射性降下物による影響なども含めて「総合的に考慮」するよう求めています。国は判決に従い、被爆者を救済措置からふるいおとす理不尽なやり方を根本から改めるべきです。

 司法の判断と被爆者がおかれている現実が示すのは、国の対策では多くの被爆者を救済できていないことです。日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)も、初期放射線の被害に固執する原爆症認定制度を見直し健康管理と治療・療養・介護のすべてを国の責任で行うよう求めています。国は被爆者の切実な訴えに応え、原爆症認定制度を抜本的に改善し、国家補償による被爆者援護を一刻も早く実現することが求められます。

 原爆の爆発直後に広範囲に降った「黒い雨」を浴び、被ばくした人たちの救済も緊急課題です。広島県や広島市などが08年に行った「原爆体験者等健康意識調査」で、被爆者援護法の「健康診断特例区域」よりはるかに広い地域で多くの住民が「黒い雨」に被ばくしている事実が判明しました。原爆の爆発に由来するセシウムも発見されました。「放射性降下物は確認されていない」という不当な言い分で「黒い雨」被爆者を切り捨てることはやめるべきです。原爆投下から67年たったいまなお多くの被爆者が苦しんでいます。全力をあげて被爆者救済の義務を果たすことこそ国の務めです。

「核」被害なくしてこそ

 核兵器の廃絶と被爆者援護・連帯を一致点にした原水爆禁止運動が発展し、その一方で東電福島原発事故後、原発をなくす一点での国民的共同も広がっています。二つの運動は出発点が異なっているとはいえ、どんな形であれ「核」被害をなくすという一点で共鳴しています。被爆者は自らのたたかいとともに、原発事故で苦しむ人びとに心をよせ、政府や東電の責任をきびしく追及しています。

 被爆67年を迎え、被爆者の援護のために連帯し、「核」被害をくりかえさない世界の実現にむけて力を合わせることが重要です。


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