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2012年8月5日(日)

不信任案 ゆらぐ民主

党分裂・増税破たん・選挙惨敗…

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 「本当か!」

 うろたえた表情を見せた民主党衆院議員の一人。自公両党をのぞく7野党による内閣不信任決議案提出での合意の動きや、これを受け自民党も独自の不信任案提出の動きを示していることを聞き、こう述べます。

 「早すぎるなあ。生き残りには、原発再稼働反対の市民の流れに乗って新党をつくるしかないが、準備が間に合わない。かといって、消費税増税反対を理由にする不信任案に反対するわけにはいかない。党は再分裂になる」

 衆院で消費税増税法案に反対・棄権した民主の「造反」議員72人。そのうち、離党せず党内にとどまる32人のうちの一人の発言です。

 別の造反議員の一人は、「今選挙をすれば民主党が消滅する」と血相を変えます。離党はせず党内にとどまって「党の再生を図りたい」としてきただけに、「選挙だとなった途端に、離党する人が出たり、党内がぐちゃぐちゃになる可能性がある」と落胆を隠せません。

 民主党内からは「自民党と手を組んで消費税増税すること自体が間違っている。選挙になるのはいやだが、不信任が通って消費税をつぶせるならそれでいい」という声も、ささやかれています。

 野田佳彦首相は3日、7野党による不信任案提出への動きを見て、輿石東幹事長と会談し消費税増税法案の「10日採決」を指示しました。自民党が求める早期採決を受け入れることで、自民党にある不信任同調の流れを止めたいという狙いがあるとみられます。

 こうした動きについて増税積極推進派の民主党議員はこう述べます。

 「すでに民主党は壊れている。ガバナンス(意思決定)がまったく効かない」

 野田首相はすでに7月末に8日採決の指示を民主党国対に出し、自民党も8日採決を求めました。

 「ところが民主党の参院幹部は20日以降の採決を返答した。これに自民党はキレた」

 同議員は、野党の自公が早期採決、与党が採決先送りをはかる奇妙な構図を説明します。「いま採決に突っ込めば衆院以上にひどい造反、離党になる。それを嫌う参院執行部を野田首相もコントロールできない」

 こうした状況で法案の採決も、その後の衆院解散の道筋も明確にできない野田首相に対し、自民党側からは3党合意破棄を含む強い反発の流れが出ているのです。

 根本には国民の消費税増税反対への激しい反対の声があります。

 自公両党が不信任案に同調し、民主党内から15人の造反が出て不信任案が可決されれば、民主党大分裂のうえに消費税増税法案も破たんという、野田首相にとって最悪のシナリオが現実化します。自民党は野田首相が解散を約束すれば、不信任案の否決に協力する姿勢ですが、解散・総選挙になれば民主党惨敗は必至です。

 自民党議員の一人は、「衆院での不信任案への対応は、民主党内の造反がどのぐらいになるかで大きく変わってくる」と指摘。鳩山由紀夫元首相らのグループの動向が一つの鍵との見方を示します。

 「国民の生活が第一」の小沢一郎代表は、7野党党首会談が開かれた3日、鳩山氏と会談しました。

 小沢氏と鳩山氏は7月29日には、新党きづなの議員のパーティー会場で同席し、早期解散や野田内閣の消費税増税批判などで意見を交わしています。


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