2012年8月4日(土)
静岡の新規採用教員自死
「公務災害」が確定
基金支部が上告断念
2004年に自ら命を絶った静岡県磐田市立小学校の新規採用教員・木村百合子さん=当時(24)=の両親が、公務災害の認定を求めた訴訟は2日、地方公務員災害補償基金静岡支部が上告を断念。公務災害と認めた東京高裁の判決が確定しました。
百合子さんは、子どもたちの「問題行動」の指導に追われ、「学級崩壊」状態に陥りました。しかし、先輩教員や管理職は、適切な指導や組織的対応をとりませんでした。着任後、わずか2カ月でうつ病となり同年9月、自ら命を絶ちました。
地方公務員災害補償基金が公務災害と認めなかったため、08年7月に静岡地裁に提訴。一審、二審とも公務災害と認められていました。
高裁判決は「クラス内で児童による深刻な問題行動が多発し、対応に追われた状況があり、新任教諭には強度の心理的負荷があった」として、学校側の支援体制の不十分さも指摘。その上で「公務による心理的負担はうつ病を発症させる程度に過重で、公務と自殺との間に因果関係が認められる」と判断していました。
母親の和子さんは「長いたたかいでした。裁判が終わってほっとしました。公務災害だと確定して本当に喜んでいます。判決の内容が学校現場に生かされるよう願っています」と話しました。
原告代理人の小笠原里夏弁護士は「公務外と判断した基金の調査内容が間違っていたことは一審段階ですでに明らかでした。基金は、被災者の福祉の向上につとめるという原点に立ち返り、こうした被災について今後きちんと対応するよう求めたい」と語りました。