2012年7月28日(土)
シリア大都市 戦闘激化
政権移行へ動きも
【カイロ=小泉大介】内戦状態に陥っているシリアで25日から26日にかけ、首都ダマスカスや第2の都市である北部アレッポで政府軍と反政府武装勢力との戦闘が激化し、多数が死傷しました。一方、反政府諸組織が26日にカタールの首都ドーハで協議するなど、アサド大統領退陣をにらんだ移行政権づくりへの動きも強まっています。
現地からの報道によると、ダマスカスやアレッポでは、政府軍が大量の戦車や軍用ヘリコプターを動員して爆撃したのに対し、反政府武装勢力側も多数の兵力を結集させ反撃しているもようです。政府軍側はアレッポに対する総攻撃をいつでも実施する準備ができているとしており、住民虐殺が懸念される状況となっています。
アサド政権は18日にダマスカスの治安施設で発生した爆弾攻撃で国防相らが死亡したことを受け、反政府武装勢力に対し全面的な報復攻撃を行うと表明していました。
英国に拠点を置く「シリア人権監視団」によると、26日にはシリア全土で少なくとも114人が死亡し、3日連続で死者が100人を超えました。
内戦が深まる中、アサド大統領の元側近で今月上旬に政権から離反し亡命したタラス准将は26日にトルコのダウトオール外相と会談しました。アサド政権退陣後の移行政権づくりについて話し合ったとみられます。
同准将は26日付の汎アラブ紙アッシャルク・アルアウサトのインタビューで、「私はシリアの危機を克服する行程表をつくるため、国内外のシリア人が統一するよう最大限の努力を行っている」と表明。主要な反政府組織「シリア国民評議会」や反政府武装組織「自由シリア軍」などに加え、現政権内部の要人とも話し合いを行っていくと述べました。
シリア外務省は26日、駐アラブ首長国連邦や駐キプロスの大使が政権を離反したことを認めました。シリアでは今月中旬に駐イラク大使が政権離反・亡命して以降、軍人に加え外交官の離反も加速しているもようで、今後の同国情勢をめぐる焦点の一つとなっています。