2012年7月28日(土)
きょうの潮流
アメリカの大統領選で、共和党のあてが一つはずれつつあるそうです。われこそ愛国の党だと売り込んできたのに、共和党ロムニー候補は愛国の人なのか、疑われています▼ロムニー氏が経営していた会社は、海外に進出する企業に投資し、国内の雇用の場を失わせた。大金持ちの彼は、国に税金をあまり払わなくてすむように細工し、税金のかからない海外の口座にお金をためている。なにが愛国だ…▼愛国論争の行方に注目です。たしかに、資本に国境はなく、お金は利益のあがるところに流れます。しかし、わが国の経済産業省がまとめた今年の『ものづくり白書』も、次のようにいっています▼「我が国企業の海外展開が国内投資や国内雇用に負の影響を与え、企業利益と国益とが相克する懸念が高まることが予想される」。企業のいっそうの海外進出は国益に反する心配がある、と認めました▼財界は、“海外に出てほしくなければ企業を身軽に”と求めます。社会保障の負担はいやだから、消費税の増税でまかなえ。税負担ももっと軽く。正社員でなく使い捨ての期限つき雇用を基本に…。国民を貧しくする国づくりです▼要求を受け入れても、大企業はものが売れるところならどこへでも行きたいのですから、海外進出をやめません。少しでも「国益」に沿わせるには、やはり、大企業がためこむ使い道のない約260兆円の内部留保をどう社会に生かすか、です。内部留保は、海外口座に眠るロムニー氏のお金のように余り金ですから。