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2012年7月26日(木)

主張

中小企業の消費税負担

増税が商店や町工場をつぶす

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 民主党と自民、公明両党は早くも消費税増税と関連法案の採決日程の談合をはじめています。

 社会保障のためといいながら社会保障に回るのは増税分の一部にすぎず、民自公が提出した社会保障制度改革推進法案は社会保障を解体に導く重大な内容です。財源が足りないといいながら富裕層・大企業減税を続け、新たな大企業減税や大型公共事業にも乗り出そうとしています。13・5兆円に上る空前の消費税増税が日本経済に与える打撃は計り知れません。

納税は身銭を切らされ

 消費税は所得が少ない人ほど負担割合が重いなど根本的な欠陥を抱えた税金です。とりわけ中小企業にとって、消費税を容易に販売価格に転嫁できないことは死活にかかわる大問題です。

 消費税法で納税義務を負わされているのは消費者ではなく事業者です。課税額はモノやサービスの価格に消費税率5%分を、10%に増税されたら10%分を完全に上乗せしたものとみなして決められるしくみです。ところが、実際にモノやサービスを売買する現場では消費者に買ってもらえるかどうかの厳しい競争があり、企業どうしの取引では力の強い大企業による買いたたきがあります。

 とくに需要が冷え込んで「デフレ」が続いているいま、価格の引き下げ競争や大企業の下請けへのしめつけがかつてなく激しくなっています。たとえばトヨタは2009年に部品の納入価格を3割も引き下げるよう下請けに要請し、昨年には仕入れ値の半減を提示したと報道されています。これでは下請け中小企業は利益の確保すら難しくなります。親会社への納品書には5%の消費税額を加えた金額が書かれていても、それは紙の上の話です。販売価格そのものの「出血大サービス」を余儀なくされたのでは消費税の転嫁どころではありません。

 販売価格に消費税を転嫁できなくても、たとえ経営が赤字に陥ったとしても消費税率分の納税を迫られる―。だから税金のなかで消費税の滞納がもっとも多くなっています。なんとか納税していたとしても社長の給料分や預金を取り崩し、家族の保険を解約し、身銭を切って納税している悲惨な現実があります。

 日本商工会議所などの調査によると売上高5千万円以下の企業では、消費税が増税された場合、販売価格に一部でも転嫁できない企業は約7割に達します。10%分のほとんどが転嫁できない企業もほぼ3割におよびます。

 民主党政権も価格転嫁の対策を検討しています。しかし、全国商工会連合会の石澤義文会長は「価格競争力が弱い、交渉力の弱い中小、とくに小規模企業にとっては抜本的な対策にはなりえない」(衆院特別委員会、6月13日の公聴会)とのべています。

徹底審議のうえ廃案に

 「転嫁を確実にしていくためには独禁法など、法律、行政両面で最大の努力をしていく」。こうのべたのは消費税の導入を議論した1988年の国会で、当時の竹下登首相です。それから20年以上、転嫁問題は改善するどころか逆に悪化しています。

 経済と社会を支えるかけがえのない商店街や町工場をなくしてはならない、そのためにも消費税増税法案は徹底審議のうえ、廃案にすべきです。


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