2012年7月25日(水)
消費税増税 試算
実質GDPを押し下げ 低所得者ほど負担重い
民間研究機関 相次ぎ発表
民主、自民、公明3党が合意した消費税増税を実施した場合の影響について民間研究機関が相次いで試算を発表しています。いずれも、税率引き上げ直前に「駆け込み需要」があるものの、その後、景気悪化が続くとしています。
現在参議院で審議されている増税法案では税率を2014年4月に8%、15年10月に10%へ引き上げます。
日本総研は「2014年度は、実質GDP(国内総生産)が(増税がなかった場合と比べて)マイナス0・9ポイント押し下げられる」としています。
14年度に実質GDP成長率を2・1ポイント押し下げると試算したのはニッセイ基礎研究所です。「消費税率が予定通り2014年4月に8%に引き上げられた場合には、2014年度はマイナス成長となる可能性が高く、2015年10月の税率再引き上げが困難となる」と述べています。悪影響は長期にわたり、15年度1・5ポイント、16年度1・9ポイント実質GDPを押し下げると試算しています。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングは税率5%から8%への引き上げで「名目消費支出はプラス1・1%、実質消費支出はマイナス0・9%となる。これは年度の実質GDPを0・5%ほど引き下げる」と試算しています。
みずほ総合研究所は駆け込み需要のため個人消費が13年度に0・79ポイント押し上げられるとするものの、14年1・87ポイント、15年1・86ポイント、16年2・36ポイント押し下げると試算しています。
年収階層別の消費税負担率も試算。税率5%の段階で、年収300万円未満の世帯では消費税負担が8万9227円で3・8%なのに対して、同1000万円以上の世帯では23万4824円で1・7%にすぎません。
税率10%になった場合、年収300万円未満の世帯では17万8454円で7・6%、年収1000万円以上の世帯では46万9649円で3・3%と、その差は4・3ポイントまで広がります。「税率引き上げ時の負担感が低所得者の方が重いのは間違いない」と述べています。