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2012年7月24日(火)

教員養成 修士レベル化

中教審が答申案 免許更新制は存続

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 中央教育審議会(文部科学相の諮問機関、会長=三村明夫新日鉄会長)は23日、教員養成期間として大学4年間に加えて大学院修士課程レベルの履修を求める「教員の資質能力の向上方策について」の答申案をまとめました。答申案は、教員免許更新制については存続の方向を示しました。

 答申案は改革の方向として「教員の高度専門職業人としての位置づけを確立するため教員養成を修士レベル化する」としました。それに向け教員免許を学士課程(大学)修了レベルの「基礎免許状」、大学院修士課程で1〜2年の学修を標準とする「一般免許状」、特定分野で「高い専門性を身に付けた」ことを証明する「専門免許状」の3段階にすることを提起しました。

 「基礎免許状」取得者は「早期に『一般免許状』を取得することが期待される」とし、「『一般免許状』取得後に教員として採用」「『基礎免許状』を取得し、教員採用後一定期間のうちに修士レベルの課程等での学修により『一般免許状』を取得」などを例示。「地域の実情に応じた様々な試行の積み重ねが必要」としました。

 「専門免許状」は「学校経営、生徒指導、進路指導、教科指導」など分野ごとに設けるとしています。

 教員免許更新制は「講習の質を向上するなど必要な見直しを推進する」としています。

 一方、「教員は日々の教育実践や授業研究等の校内研修、近隣の学校との合同研修会、民間教育研究団体の研究会への参加、自発的な研修によって、学び合い、高め合いながら実践力を身につけていく」と校内研修や自主研修の重要性にもふれています。

実態考慮していない

 全日本教職員組合(全教)の得丸浩一・教文局長の話 答申案は、子どもに寄り添う教師ではなく、「エリート」を育てる教師を育成することが目標になっていると感じます。

 教員の資質向上どころか現場を苦しめている免許更新制は直ちに廃止するべきです。全教のアンケートでも8割が「廃止すべきだ」と答えています。

 教員養成の修士レベル化は、「新たな学びに対応した授業スタイル」や「高学歴化の進展」のためとされ、子どもたちの実態を考慮しているとは思えません。世界一といわれる日本の大学の高学費も解決の道筋は示されず、学費負担が大変で、教師になる道が狭められる恐れがあります。

 免許を3ランクにすることも問題です。免許の種別によって職務上の位置付けに差異をつけたり、勤務労働条件に格差を生じさせることにつながりかねませんし、職場のチームワークを破壊します。

 「教員の資質向上」は、答申案が強調する個々の教員の資質向上にとどまらず、学校総体としての教育力の向上という視点を欠いてはなりません。


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