2012年7月24日(火)
オスプレイ陸揚げ
政府に不信感 安保に支障も 県民に不安 安全担保ない
首長が「抗議」「遺憾」
米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイが23日に岩国基地に陸揚げされたことを受け、関係自治体の首長は一斉に「抗議」「遺憾」を表明しました。
山口県知事
岩国市長
二井関成山口県知事は23日、県庁で記者団に「スケジュールありきで先行搬入され、大変怒りを覚えると同時に、政府に不信感が募ってきている」と述べました。
知事は「搬入に抗議し、安全が確認されるまでは絶対に岩国基地で飛行させず、確認されなかった場合はアメリカに持ち帰ってもらいたい」と話しました。
政府との信頼関係にも触れ、「万が一崩れることがあれば、(岩国基地への)空中給油機の受け入れや在日米軍再編の問題も再度見直さなければならない。地元の意向を踏まえ、対応していただきたい」と語りました。
また、岩国市の福田良彦市長は同日、岩国基地の対岸でオスプレイを載せた輸送船の入港を確認。「政府自ら主体的に安全性を確認し、地元に説明すべきだと申し上げてきた。このまま進めれば、地元の理解の上に成り立つ日米安保に大きな支障が出てくる。しっかり国に抗議したい」と語りました。
沖縄県知事
沖縄県の仲井真弘多知事は「関係自治体が事態を深く憂慮し、安全性について大きな懸念を抱いている中、配備計画を進めることは誠に遺憾だ」とするコメントを発表しました。
コメントは、オスプレイが4月と6月に墜落事故を起こしたことを指摘した上で、「県民の不安が払拭(ふっしょく)されない限り、(米軍普天間基地への)配備には反対だ」としています。
宜野湾市長
オスプレイの配備が計画されている普天間基地を抱える宜野湾市の佐喜真淳市長は次のように語りました。
オスプレイの岩国陸揚げは、残念でなりません。市民の生命、財産を守る立場からは、安全性の担保がないものを認めるわけにはいきません。2カ月で2度も事故が起こっているのです。
日米両政府は、事故報告書はもとより、市民の意向をしっかり踏まえて対応していただきたい。地元の意見を尊重し、真摯(しんし)に受け止めていただきたい。これに尽きます。しかし、事態は私たちの気持ちとは逆の方に向かっているとしか思えてなりません。普天間の固定化だけは何としても避けていただきたい。
8月5日には配備反対の県民大会が地元・宜野湾市で開かれます。市としても大いに連携して成功のために取り組んでいきたいと思います。
自治体の意向尊重を 全国知事会
全国知事会(会長・山田啓二京都府知事)は「関係自治体の意向を尊重することなく陸揚げが行われたことは誠に遺憾」とする会長声明を発表しました。
19、20日に高松市内で開かれた全国知事会議では、オスプレイ搬入について「関係自治体や住民が懸念している安全性が確認できない状況では受け入れることができない」と反対する緊急決議を採択しました。会長声明はこれを踏まえ、「政府には、決議に沿った対応を改めて強く求める」としました。